交通事故に遭ったとき、「いつのタイミングで弁護士に相談すれば良いのだろう?」と悩まれる方が少なくありません。
弁護士に相談するなら、できるだけ早い方が良いです。早ければ早いほど、有利に解決できる可能性が高くなります。
「こんな小さな事故で弁護士に相談するなんておおげさだ」と考えて躊躇する方もたくさんおられるのですが、そんな必要はありません。
今回は交通事故で弁護士に相談・依頼すべきタイミングについてご説明します。
1.少しでも気になることがあれば弁護士へ相談すべき
交通事故に遭うと、いろいろな不安を抱くものです。
- 今後どのような流れで賠償手続きが進んで行くのか?
- どのくらいの賠償金が支払われるのか?
- 保険会社の言っていることは正しいのか?
- 示談してしまって良いのか?
少しでも疑問や不安を感じたら、そのときが弁護士に相談すべきタイミングです。相談したらケースに応じて適切なアドバイスを受けられるので安心ですし、将来の無用な不利益も避けやすくなります。
自己判断で動いてしまうと、後に思わぬ不利益を受けてしまうケースが少なくありません。
心配事があるのに1人で抱え込んでしまったら、精神的にも辛くなるでしょう。
気になることがあれば、すぐにご相談下さい。
2.できれば交通事故直後に相談しておく
交通事故に遭った場合、できれば事故直後に一度弁護士に相談してアドバイスを受けておくべきと考えています。
事故直後は今後の流れや基本的な対処方法など、わからないことがたくさんあるものです。今後の手続きの流れや受けられる補償内容についてなど、漠然と不安を抱えている方も多いでしょう。
弁護士に相談すれば今後の流れや見通し、とりあえず今やっておくべきことを聞けるので安心できます。直後から正しい対応をしておくことで、将来後遺障害認定請求や示談交渉を行うときにも有利になる可能性が高くなります。
事故後すぐに病院に搬送されて入院なさった場合などには、退院後にご相談いただければ良いですし、入院中にご家族が先にご相談に来られてもかまいません。
実際には多くの方が、「できるだけ自分で対応してみて、どうしようもなくなったときに弁護士に相談に行こう」と考えるのですが、これでは「手遅れ」になってしまうケースもあります。
事故に遭ったら、早い段階で1度弁護士に相談しましょう。
3.弁護士に相談すべきタイミング
交通事故で以下のような疑問や不安、お悩みがおありならすぐに弁護士までご相談下さい。
- 自分のケースでいくらの賠償金額が妥当なのか知りたい
- 保険会社から治療費を打ち切られたら、どうしたら良いのか
- 保険会社から示談金の提示を受けたとき、応じてしまって良いものか
- 保険会社との示談交渉を依頼したい
- 示談が決裂したので裁判を起こしたい
- 後遺障害認定を受けたいので、手続きを依頼したい
- 後遺障害認定結果に不満があるので異議申立を依頼したい
- 過失割合に納得できない
- 人身傷害補償保険、搭乗者補償保険の受け取り方法や計算方法を知りたい、支払われた金額に納得できない
- 自賠責保険に被害者請求したい
3-1.いくらの賠償金額が妥当なのか知りたい
交通事故に遭うと、相手に治療費、休業損害、慰謝料、逸失利益などの損害賠償金を請求できます。
ただしその内容や金額はケースによってさまざまで、金額も事故の重大性や被害者のおかれた立場などにより、大きく異なってきます。
示談交渉を有利に進めるには、まずはその事案においてどのくらいの賠償金額が相当かを知っておくべきといえるでしょう。
弁護士に相談すると、状況に応じてどのくらいの賠償金を請求できるものか、だいたいの試算ができるものです。
保険会社との示談交渉に備えて、1度弁護士に相談しておくと安心といえるでしょう。
3-2.保険会社から治療費を打ち切られたら、どうしたら良いのか
人身事故が発生すると、多くのケースにおいて事故後しばらくの間、保険会社から病院へ直接治療費を払ってもらえます。ただ治療期間が長引くと、保険会社が一方的に治療費を打ち切ってしまうことも少なくありません。
まだ治療を続けたくても保険会社からは「そろそろ治療を終わって示談交渉を始めましょう」などといわれるので、被害者の方は混乱して悩んでしまうものです。
そんなときには、弁護士に相談しましょう。状況によっては再度治療費の支払いを再開してもらえる可能性がありますし、それが無理でも将来正当な補償を受けるための対応を進められます。
自己判断で治療をやめてしまったら、休業損害や慰謝料を大きく減らされて不利益を受ける可能性があるのでくれぐれもご注意ください。
3-3.保険会社から示談金の提示を受けたとき、応じてしまって良いものか
交通事故後に保険会社と示談交渉を進めると、一定の段階に達したときに相手から示談金の提示があるものです。
このとき、簡単に受け入れるのはお勧めしません。保険会社の賠償金計算方法は一般に「任意保険規準」と呼ばれる低い基準となっているためです。
任意保険基準は法的な基準より大幅に低額な傾向があるため、そのまま受諾すると損をしてしまうリスクが高まります。正当な補償を受けたいなら、弁護士に相談して妥当な賠償金額を確認しましょう。
示談するのはそれからでも遅くはありません。
3-4.保険会社との示談交渉を依頼したい
交通事故後、保険会社と示談交渉をする際に意見が合わず、もめごとになってしまうケースが多々あります。
過失割合や慰謝料の金額について争いが発生するケースもあれば、保険会社の担当者の態度が気に入らないといったクレームまで、原因はさまざまです。トラブルになると、示談を成立させるのが難しくなりますし大きなストレスもかかってしまうでしょう。
弁護士に示談交渉を依頼すると、自分で対応する必要がなくなります。手間もかからなくなりますし、精神的にも楽になるでしょう。
また弁護士が示談するときには、任意保険基準より高額な「弁護士基準」が適用されます。
このことにより、慰謝料を始めとした賠償金額が大きく増額されるケースも多いので、受け取れる金額が高額になってメリットを受けられるでしょう。
特に後遺障害の残った事故や死亡事故などの重大事故では、弁護士に依頼したときと自分で対応したときの差額が大きくなります。
示談交渉に悩んだら、できるだけ早めに弁護士に依頼するようお勧めします。
3-5.示談が決裂したので裁判を起こしたい
自分で示談交渉を進めても、どうしても合意できず決裂してしまうケースが少なくありません。示談で解決できなければ、調停やADR、訴訟などの他の手続きによって解決する必要があります。しかし自分1人で訴訟などの手続きを進めるには不安を感じる方が多いでしょう。
そんなときには弁護士に依頼するようお勧めします。特に訴訟は、弁護士に依頼するとご本人が裁判所へ行く必要すらほとんどありません。大船に乗った気持ちで任せていれば、適切な補償を受けられるでしょう。示談が決裂しそうなときには、早めに弁護士に相談してみてください。
3-6.後遺障害認定を受けたいので、手続きを依頼したい
交通事故に遭うと、身体のあちこちにさまざまな後遺症が残る可能性があります。
そういったケースでは、自賠責保険(共済)で「後遺障害等級認定」を受けなければなりません。認定を受けられなければ、自賠責や任意保険から後遺障害についての補償を受けるのが難しくなってしまいます。
ただ後遺障害等級認定の手続きには医学的な知識や専門の対応スキルを要求されるケースも多く、当事者の方が自分で対応すると失敗するリスクも高くなってしまいます。
特に後遺障害認定を受けられるかどうか微妙なケースで適当に対応すると「非該当」とされて後遺障害が認められない事例も多々あるので、注意しなければなりません。
弁護士に後遺障害等級認定手続きを依頼すると、医師とコミュニケーションをとったり各種の資料を収集したりして、できるだけ高い等級を獲得するための最良の手段をとれます。
むちうちなどで後遺障害が認められるか微妙な案件では、必ず弁護士に依頼しましょう。
3-7.後遺障害認定結果に不満があるので異議申立を依頼したい
後遺障害等級認定の請求をしても、非該当となってしまったり思ったより低い等級にされてしまったりするケースは少なからず存在します。
不服があるなら「異議申立」という手続きを利用すると、認定結果を変更してもらえる可能性があります。非該当のケースでも14級やそれ以上の等級が認定されるケースがありますし、低い等級になった場合にはより高い等級に変更してもらえる可能性も。
ただご自身で異議申立をしても、結果を変更するのは相当困難です。異議申立に対する判断を行うのは当初と同じ自賠責保険であり、1回目と同じ主張をしても結局は変更を認められないためです。
弁護士に依頼して新たな資料を集めるなど綿密な準備をすれば、変更が認められる可能性が高くなるでしょう。異議申立をしても変更されない場合、最終的裁判で後遺障害等級を決定してもらうことも可能です。
後遺障害認定結果に不服があるなら、あきらめずに早めに弁護士に相談しましょう。
3-8.過失割合に納得できない
交通事故後の示談交渉では、保険会社との示談交渉で「過失割合」についての争いが発生するケースも少なくありません。
実際に保険会社は、被害者側へ過大ともいえる過失割合を割り当てようとするケースもあります。ただ自分で保険会社に「納得できない」といっても、水掛け論になるだけで示談が成立しなくなってしまうでしょう。
そんなときには弁護士に相談してみてください。適切な過失割合をあてはめて、被害者側が請求できる賠償金額を大幅に増額できる可能性があります。
過失割合が10%変わると、受け取れる賠償金額が1割以上違ってきます。過失割合について少しでも疑問があれば、示談を成立させてしまう前に弁護士に確認しておくようお勧めします。
3-9.人身傷害補償保険、搭乗者補償保険の受け取り方法や計算方法を知りたい、支払われた金額に納得できない
交通事故に遭うと、被害者が加入している自動車保険からも保険金を受け取れるケースがよくあります。
人身事故であれば、人身傷害補償保険や搭乗者補償保険、無保険車傷害保険、物損事故であれば車両保険などを適用できるでしょう。
自動車保険に「弁護士費用特約」がついていれば、無料あるいは低額で弁護士に相談や示談交渉・訴訟などを依頼できます。
しかしこういった保険を受け取れることや、どのような計算方法になるのかがわからない方も少なくありません。自動車保険の申請は基本的に被害者が自分で行わねばならず、保険会社が進んで支払をしてくれるとは限りません。
利用できる自動車保険について知りたい場合にも、お気軽に弁護士までご相談ください。
3-10.自賠責保険に被害者請求したい
相手が任意保険に加入していない場合や後遺障害認定請求の手続きを進めるタイミングで「被害者請求」を利用すべきケースがあります。
被害者請求とは、被害者が自ら加害者の自賠責保険や共済へ保険金(共済金)を請求する手続き。
後遺障害等級認定請求を行うときには、相手の任意保険会社に手続きを任せる「事前認定」と「被害者請求」の2通りの方法があります。一般的に、被害者請求の方が等級認定を有利に進めやすいケースが少なくありません。
しかし被害者請求にはたくさんの資料が必要となり、大変な手間がかかるデメリットがあります。被害者が自分で対応するのは難しく、ハードルが高いので利用されない方が多いのが現状です。
弁護士に依頼すれば、被害者ご本人はほとんど何もしなくてよいので、楽に保険金の請求手続を進められるでしょう。自賠責保険(共済)で被害者請求をされたい場合には、1度弁護士に相談してみてください。
4.交通事故にくわしい弁護士を選びましょう
交通事故に関して弁護士に相談すると決めたら「どの弁護士を選ぶのか」が重要です。
弁護士にもいろいろな方がいらっしゃるので、誰でもよいというわけにはいきません。
交通事故をあまり得意としていない方に相談しても、あまりよい結果は期待できないでしょう。
できるだけ交通事故被害者の救済に積極的に取り組んでおり、これまで後遺障害認定や示談交渉などで高い実績を挙げてきた弁護士に相談すべきといえます。
当事務所では、これまで横浜の地元に根ざして交通事故案件に積極的に取り組んで参りました。交通事故直後から(示談交渉開始前の段階でも)被害者様からのご相談を受け付けています。弁護士費用特約を適用した受任も可能ですので、交通事故で少しでもお悩みや疑問、不満をお持ちならすぐにでもご相談下さい。