7月8日に、北海道の名寄市でトラックと乗用車の衝突事故があったようです。
ヤフーニュースによると、旭川方向に走行していたトラックが、反対車線に飛び出し、乗用車と衝突してしまったとのこと(7月8日時点のニュースの情報を前提としています)。
交通事故で怪我をされてしまった方は、その後、加害者や保険会社に損害賠償請求を行う事になりますが、その時に問題となることが多いのが「過失割合」です。
今回は、7月8日のトラック事故をもとに、過失割合のお話をします。
まず、過失割合とは簡単にいうと、事故の責任をどういう風に分担するかという割合のことです。
事故の態様には様々な態様があり、加害者が一方的に悪い事故もあれば、被害者に落ち度のある事故もあります。そういった、加害者の落ち度の程度によって、損害賠償額から差し引くことを過失相殺といいます。どの程度の差し引くか、という割合のことを過失割合といいます。
では、今回のように、反対車線に飛び出して(センターラインオーバーして)、対向車と衝突してしまった場合は、過失割合はいくつになるのでしょうか?
答えは、原則として、10対0で加害者が悪くなります(全てのセンターラインオーバーで必ず10対0になるわけではありません。)。
この割合は、道路交通法や過去の判例の蓄積から導き出されるもので、多くの事故では定型的に過失割合が算出されることがほとんどです。そして、その根本にある考え方が、「被害者側が避けることができたかどうか」という考え方です。
例えば、赤信号で停車中の被害者の車に、加害者の車が後ろから追突した場合、被害者の車は避けようがありませんので、過失割合は10対0になります。
今回の事故のように、センターラインをオーバーした場合はどうでしょうか。
道路交通法では、車は、道の真ん中(又はセンターライン)から左側の部分を走行する義務があり、基本的に、道路の左側に寄って走行しないといけません(道路交通法18条1項)
この義務は、極めて車を運転する者にとって極めて基本的な義務なので、反対車線を走行してる人は、対向車がまさかそんな義務に違反するなど思わないのが通常です。ですので、基本的には10対0の過失割合になるんですね。
もっとも、
1左側通行ができないとき
2被害者が前方不注意をしていた場合
3加害者が前の車を追い越すためにセンターラインをオーバーしており、被害者側に速度違反がある場合
などは、センターラインオーバーであっても被害者側に過失割合が生じます。過失割合は、事故で発生した損害を、公平に分担する考え方なので、「センターラインオーバーであれば10対0」という単純なものではないんですね。
本日は、過失割合について取り上げました。
ご自身の過失割合に納得が行かない方、交通事故に詳しい弁護士であれば、加害者や保険会社との交渉において、納得のいく過失割合を主張することができますので、ぜひ一度相談することをお勧めします。