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弁護士 鈴木 晶
一般の方々に、わかりやすく法律の知識をお届けしております。
難しい法律用語を、法律を知らない人でも分かるような記事の作成を心がけています。
交通事故に関する様々な悩みを持つ方々のために、当ホームページは有益な情報を提供いたします。
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交通事故を理由に請求する慰謝料の額は一定ではありません。交通事故の背景、加害者の言動、被害の大きさなど、さまざまな事情を考慮して算定されます。
被害者としては、納得するためにも高額な請求したいと望むことでしょう。しかし相手方の同意の有無や、訴訟となれば裁判所の判断も絡んでくるため、被害者であっても金額を自由に設定することはできません。
ただ、当記事で取り上げる事情(慰謝料の増額事由)があるときは、相場より高額での請求を実現化しやすくなります。
慰謝料の増額事由とは
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慰謝料とは精神的損害を金銭に置き換えたときの損害額であり、交通事故の被害者は加害者に対してこれを請求できるときがあります。
しかし「想定より支払われる額が小さい」「こんな金額だと納得いかない」と思うケースもあるでしょう。
交通事故における慰謝料の金額にも相場がありますので、似た事例と近い慰謝料額になることが予想されます。しかしまったく同じ交通事故はありませんし、加害者のその後の行動や被害者の受けた被害の程度によっては相場より高額な請求ができることもあります。
このように相場から増額させるような要因をここでは「慰謝料の増額事由」と呼んでいます。
とはいえ精神的損害を正確に測ることは困難で、実際裁判所がどのような事情をどうやって計算に反映させるのか、画一的なルールが設けられているわけではありません。そのため、結局のところ個別の事故内容を評価する必要があることには留意してください。
増額事由の具体例
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慰謝料の額が増額される事由の具体例として、次のような事情が挙げられます。
- 行為が特に悪質
- 故意や重大な過失があった
- 救護を行わず逃走した
- 著しく不誠実な対応
- 怪我の程度が重い
- 精神疾患に罹患
- 被害者が亡くなった
それぞれ詳細を見ていきましょう。
行為が特に悪質
悪質な行為によって被害を被ったときは慰謝料の額が増額される可能性があります。
例として、単なる運転ミスなどではなく、加害者が飲酒運転や信号無視をしていた結果、交通事故につながってしまった場合が挙げられます。スピード超過等による危険運転中での事故、ひき逃げ事故など、行為が非常に悪質であることは慰謝料増額事由として考慮されます。
昨今の傾向でいうと飲酒運転への取り締まりが厳しくなっており、飲酒運転によって引き起こされた交通事故であれば慰謝料も比較的高額になりやすいといえます。
故意や重大な過失があった
なかなか起こることではありませんが、加害者が「故意」で交通事故を起こした場合も慰謝料の額は高く見積もられやすいです。
多くの交通事故は、その背景に危険運転などがあったとしても、通常は意図して起こすものではありません。しかし、事故前に口論をしていて感情的になってしまった結果、車でその相手をひいてしまうというケースもあれば、何か嫌なことがあって自暴自棄になってしまった結果、車で他人をひいてしまうというケースも起こり得ます。
また、故意ではなくても「重大な過失」による交通事故で慰謝料の額が高くなることもあります。
重大な過失(「重過失」ともいう。)とは、少し配慮するだけで防げたような、重大な不注意のことをいいます。居眠り運転をしていた場合などには重大な過失が認められやすいです。
救護を行わず逃走した
車を運転する者には、事故後、その場での安全確保や怪我人に対する救護の義務があります。
それにもかかわらず何もしない、そのまま逃走をした、といった事実は慰謝料増額事由として認められやすいです。過去の事故事例でも、同乗者が救護や警察への通報をしなかったことが慰謝料の増額事由になり得るとも評価されています。
著しく不誠実な対応
事故後の加害者の態度が非常に悪く「著しく不誠実」と評価できる場合、これを理由に慰謝料が増額できることもあります。
何をもって不誠実と捉えるのか定かではないですが、例えば自らの刑事責任を少しでも軽くしようと、被害者の責任が重くなるように不合理な弁明を続けているようなケースだと著しく不誠実と捉えることができるでしょう。
一方で、「土下座をしてくれなかった」「葬儀に参列しなかった」「お見舞いにこなかった」といった理由のみで慰謝料の増額を求めるのは難しいです。
怪我の程度が重い
交通事故によって追った怪我の程度は慰謝料の額に影響します。
例えば「一時は生死をさまようような状況にあった」「極度の苦痛を伴う手術を受けた」「事故から1時間以上足をひかれたままであった」など被害者の受ける苦痛が特に大きな場合は慰謝料の額も大きくなります。
後遺症に関しては、それが労働能力の喪失につながるものであれば後遺障害等級の認定を受けることで「後遺障害慰謝料」や「逸失利益」として別途請求できる賠償金が増えます。
しかし逸失利益の算定などが難しい後遺症もあります。顔や体に目立つ跡(醜状痕:しゅうじょうこん)が残ってしまったときや、嗅覚に後遺症が残ったときなどです。このような場合、逸失利益の代わりとして慰謝料の増額が認められることもあります。
精神疾患に罹患
交通事故によって心に大きな傷ができてしまい、一時的なショックにとどまらず精神疾患を発症することもあります。
問題となりやすいのは「PTSD(心的外傷後ストレス障害)」です。
死に直面したとき、あるいは目の前で家族や親しい人物が死んでしまったなど、凄惨な場を目撃してしまうことでPTSDは起こり得ます。PTSDになると交通事故でのショッキングな体験が何度もフラッシュバックしてしまい、日常生活に支障をきたすレベルで発症することもあります。
このような精神疾患への罹患も慰謝料の額に影響してきます。罹患しているかどうか、そしてその程度についても考慮し、慰謝料の額は定まります。
被害者が亡くなった
被害者が交通事故によって亡くなることもあります。この場合は傷害より大きな結果、損害が発生したと考えることができます。
そこで亡くなった方の家族などは「死亡慰謝料」として一般的な「傷害慰謝料」より高額な慰謝料を請求することができます。
裁判上で認められる死亡慰謝料の相場は2,000万円~2,800万円で、亡くなった方の家庭内における立場で金額が変わってきます。主な収入源を持っていた「一家の支柱」と呼べる場合には、家庭に与える経済的な影響が大きいことから請求できる慰謝料も比較的高額になります。
慰謝料増額についてよくある疑問
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慰謝料が増額できるのか・できないのか、この点に関して比較的多くの方が疑問を持つポイントを以下に整理しました。
加害者が謝りに来ないときは増額できる?
「加害者が被害者のもとへ謝罪をしに来ない」というだけで慰謝料を増額することは難しいです。
著しく不誠実な態度があれば増額事由として認める余地がありますが、「そっけない態度を取っている」「反省しているように見えない」といった程度で増額は期待できません。
すでに精神疾患に罹患していたらどうなる?
精神疾患への罹患は慰謝料の増額事由として考えられますが、交通事故の前から精神疾患に罹患していたのであればその前後での変化を見る必要があります。
もちろん、事故の後に悪化したという事情がなければ慰謝料を増額する理由にはなりません。
一方でうつ病の程度が事故後に悪化したことが客観的に示せれば、増額してもらうことも可能でしょう。その他の精神疾患についても同様です。
車・バイクが破損したショックも考慮される?
大事にしていた車やバイクが交通事故によって破損することもあります。このときの修理費や買い替え費用などは損害額として算定し、請求することが可能です。
しかし物が壊れたことによる精神的なショックを慰謝料に含めることは難しいです。一般的には、財産的被害の回復をもって物損に対する精神的被害も回復すると評価されるためです。
ペットが亡くなったときは増額できる?
犬や猫などのペットが亡くなったときも、法的には物損として評価します。
そうすると車が破損したとき同様慰謝料は認められないと考えられそうですが、ペットは家族の一員として接していたという違いがあります。人が亡くなったときと同等の慰謝料を請求することはできませんが、ペットが亡くなったり重大な傷害を受けたりしたときは、その分の慰謝料も含めて金額を算定できるケースもあります。
増額をするには証拠が重要
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増額できるような事情が現実にあったとしても、その事実を客観的に証明できないといけません。相手方がすんなり受け入れてくれれば容易に高額な請求もできますが、相手方が認めなければ証拠を提示する必要があります。
そこで以下の内容を参考に証拠集めを進めていきましょう。
ドラレコや運行記録計の記録を取得する
ドラレコ(ドライブレコーダー)の記録は交通事故の状況を証明する重要な証拠として機能します。事故の瞬間を捉えることで、相手方が虚偽を述べていても間違っていることを証明できますし、具体的にどれだけの速度が出ていたのかを割り出せることもあります。
加害者がトラックに乗っていたときは、運行記録計(タコグラフ)が搭載されていることもあります。ここには速度の変化が記録されていますので、運行記録計の開示を請求することで事故当時の速度を割り出すこともできます。
診断書を取得する
事故によって受けた被害の程度を証明するには医師の作成する診断書が役に立ちます。
被害者自身の主観で伝えるだけだと不十分ですので、客観的な資料として使えるよう診断書を取得しておきましょう。そのためにも、事故の後はすぐ病院で診察を受けなくてはなりません。
加害者の言動を記録する
加害者側の言い分がころころと変わる可能性があります。また、著しく不誠実といえるような対応を取ってくる可能性もあります。
そこで事故後に加害者とやり取りを行う機会があれば、そのときの様子はスマホの録音機能などを使って残しておきましょう。やり取りの内容次第で慰謝料の額が変わってくることもあります。
また、後日加害者から連絡を受けた際には暴言を吐かれるおそれもありますし、脅されるおそれもあります。メールやチャットでやり取りを行った場合はその情報が消えないように保存し、通話の場合は録音をしておきましょう。
刑事記録の照会
警察や検察が事故状況を調査している場合、その記録が民事上の慰謝料請求にも役立ちます。
ただし刑事記録は自由に閲覧できるものではありませんので、弁護士を代理人に立てて照会の手続をしてもらいましょう。弁護士を介して開示請求を行うことで、慰謝料請求のために有力な証拠をスムーズに入手することができます。
横浜クレヨン法律事務所では年間150件以上の交通事故案件を取り扱い、年間相談件数は400件以上の実績があり、交通事故対応スペシャリストの弁護士が在籍しております。
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