交差点では、右折車と直進車が接触して交通事故が発生するケースが多々あります。
信号機が設置されているケースと設置されていないケース、信号機の色ごとに、パターン別に基本の過失割合と修正要素をみていきましょう。
信号機の設置されている交差点における、右折車と直進車の事故
信号機の色別、基本の過失割合の表
|
直進車の過失割合 |
右折車の過失割合 |
直進車、右折車ともに青 |
20% |
80% |
直進車が黄信号、右折車が青信号で進入し黄色になって右折 |
70% |
30% |
直進車、右折車ともに黄信号 |
40% |
60% |
直進車、右折車ともに赤信号 |
50% |
50% |
直進車が赤信号、右折車が青信号で進入し赤信号になって右折 |
90% |
10% |
直進車が赤信号、右折車が黄信号で進入し赤信号になって右折 |
70% |
30% |
直進車が赤信号、右折車が右折の青矢印信号で右折 |
100% |
0% |
交差点では直進車と左折車が優先される
交差点においては、基本的な交通ルールとして「右折車よりも直進車・左折車が優先」されます(道路交通法37条)。すなわち交差点を右折しようとする車両は、直進車や左折車の進行を妨害してはなりません。
そこで交差点で直進車と右折車が接触する場合、基本的には直進車の過失割合が低くなります。
ただし信号機が設置されている場合、車両は必ず信号機による指示に従わねばなりません(道路交通法7条)。たとえ直進車であっても信号無視をしていると、直進車の過失割合は高くなります。
以上を前提に、個別のパターンにおける過失割合をみていきましょう。
直進車、右折車ともに青
直進車と右折車の信号機の色がともに青の場合、道路交通法の原則とおり直進車は右折車に優先します。直進車に道を譲らなかった右折車の過失割合が上がり、直進車:右折車=20%:80%となります。
直進車と右折車の事情により加算される修正要素
直進車が黄信号、右折車が青信号で進入し黄色になって右折
信号機の色が黄色の場合、車両は原則的に停止しなければなりません。進行して良いのは、停止によって危険が発生する場合のみです。直進車が黄信号の場合、原則として停止しなければなりません。それにもかかわらず交差点へ進入した直進車の過失割合が上がります(道路交通法7条)。
そこで直進車が黄色、右折車が青の場合の基本の過失割合は直進車:右折車=70%:30%となります。
直進車、右折車ともに黄信号
直進車と右折車が両方とも黄信号であったにもかかわらず、安全に停止線で停止できず交差点に進入した場合です。このパターンでは、両方が青信号で進入するケースと同様に考えられ直進車が優先されます(道路交通法37条)。結果として直進車の過失割合が40%、右折車の過失割合が60%となります。
直進車、右折車ともに赤信号
直進車と右折車がともに赤信号の場合、双方に信号無視の重大な過失が認められるので、お互いの過失割合が50%:50%となります。
このパターンの修正要素も、直進車・右折車ともに青(直進車・右折車ともに黄)のケースと同様です。
直進車が赤信号、右折車が青信号で進入し赤信号になって右折
直進車が赤信号の場合、直進車には明らかな信号無視があるので(道路交通法7条違反)直進車の過失割合が上がります。
一方、右折車は青信号で侵入しているものの、交差点の中で赤信号となってしまっているので小さくても過失割合が認められます。
基本の過失割合は、直進車:右折車=90%:10%となります。
直進車が赤信号、右折車が黄信号で進入し赤信号になって右折
直進車が赤信号の場合、直進車には明らかな信号無視(道路交通法7条違反)があるので高い過失割合が認められます。
一方で右折車は黄信号である以上、原則として停止しなければなりません。停止せずに交差点に進入して交差点内で赤信号となっている点で過失が認められるので、直進車:右折車の過失割合は70%:30%となります。
このパターンにおける修正要素は、「直進車が赤信号、右折車が青信号で進入し赤信号になって右折」のケースと同様です。
直進車が赤信号、右折車が右折の青矢印信号で右折
直進車が赤信号の場合、直進車側に明らかな信号無視が認められるので過失割合は高くなります(道路交通法7条違反)。一方で右折の青矢印信号が出ている場合、右折車に信号無視はありません。よって直進車の過失割合:右折車の過失割合=100%:0%となります。
修正要素は以下のとおりです。
信号機の設置されていない交差点における直進車と右折車の事故
交差点では、原則として直進車が右折車よりも優先されます(道路交通法37条)。よって信号機のない交差点で直進車と右折車が接触した場合、原則とおり右折車の過失割合が高くなり、基本の過失割合は直進車:右折車=20%:80%となります。
このパターンにおける修正要素は以下のとおりです。
過失割合に疑問のある場合、弁護士にご相談ください。
交差点で直進車と右折車が接触する事故が発生する頻度は非常に高くなっています。
事故に遭ったとき、基本の過失割合だけではなく修正要素を的確に適用しなければ、正しい過失割合を算定できません。保険会社の主張する過失割合が必ずしも正しいとは限らないので注意が必要です。
過失割合について疑問がある場合、弁護士へ相談しましょう。個別の事情に応じて適切な過失割合をご案内させていただきます。弁護士が対応すると被害者側の過失割合が大きく下がって賠償金が増額されるケースも多いので、横浜で交通事故に遭われましたら、お早めにご相談ください。