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弁護士 鈴木 晶

一般の方々に、わかりやすく法律の知識をお届けしております。
難しい法律用語を、法律を知らない人でも分かるような記事の作成を心がけています。
交通事故に関する様々な悩みを持つ方々のために、当ホームページは有益な情報を提供いたします。

バイクが車の間をすり抜けた場合の交通事故(すり抜け事故)の過失割合はどのくらいになるのでしょうか?

バイクによるすり抜け行為は危険です。事故につながればバイク側の過失割合が高くなるケースも多いですし、違法になるケースもあります。急いでいても安易に違法なすり抜け行為をしないように注意しましょう。

この記事ではバイクのすり抜け事故における過失割合やすり抜けが違法になるケース、保険会社から提示された過失割合に納得できない場合の対処方法について、弁護士が解説します。
日頃からバイクによく乗る方、バイクのすり抜け事故の当事者になってしまった方はぜひ参考にしてください。

この記事でわかること

  • バイクのすり抜け行為とは?
  • バイクのすり抜け事故の過失割合
  • バイクのすり抜けが違法になるケース
  • 交通事故で過失割合が重要な理由
  • 保険会社の提示する過失割合に納得できない場合の対処方法
  • バイクのすり抜け事故で弁護士に相談するメリット

目次

1.バイクのすり抜け行為とは

まずはバイクのすり抜けとはどういった行為なのか、確認しましょう。

すり抜けとは、バイクが車の間を走行して追い越したり追い抜いたりする行為をいいます。
「追い越し」と「追い抜き」の2種類があります。
追い越しと追い抜きの違いもみてみましょう。

1-1.追い越し

追い越しとは、後方車が車線変更をして前方の車を追い抜いてそのままの車線で直進するか、再度車線変更をして追い抜いた車両の車線に戻って前に出ることを意味します。

1-2.追い抜き

追い抜きとは、後方車が車線変更せずに前方の車を追い抜いて前に出ることを意味します。

以上をまとめると、バイクの追い越しは「車線変更して前の車を追い抜くこと」を意味し、追い抜きとは「車線変更をせずに前の車を追い抜くこと」といえます。

そして「すり抜け」は、こういった追い越しと追い抜きを総合した言葉です。

2.バイクのすり抜け事故が多い理由

バイクが関連する交通事故にもさまざまなパターンがありますが、すり抜け事故は比較的よく起こる類型です。
すり抜け事故の典型は、バイクが前方の車を追い越す際に接触してしまうもの、前方の車両や右折や左折をする場合に後方バイクを巻き込んでしまう事故です。

なぜすり抜け事故が起こりやすいのか、理由をみてみましょう。

バイクは車よりも車体が小さく細いので、車からその姿を確認しにくい特徴があります。車の死角に入ってしまうケースも珍しくありません。
また車なら通れないような隙間でもバイクであれば入れることも多く、結果的にすり抜け事故につながります。

以上のようにバイクではすり抜け事故が起こりやすいので、バイクや車を運転する際にはすり抜け事故に巻き込まれないように十分注意が必要といえるでしょう。

3.バイクのすり抜け事故の過失割合

次にバイクのすり抜け事故の過失割合はどのくらいになるのでしょうか?

過失割合とは、交通事故により損害発生に対して当事者のどちらにどれだけの責任があるかという割合です。
たとえばバイク:車=50:50なら同程度の責任、ということになります。

バイクのすり抜け事故には大きく分けて以下の4つのパターンがあります。

3-1.バイクが前方車両を追い抜いたときの事故

バイクが前方車両を追い抜いたときに接触した交通事故では、基本的にバイクが100%、すり抜けにあった自動車が0%となります。

バイク:車=100%:0%

バイクは車を追い抜く際、車の動向に十分注意を払いながらハンドル操作しなければなりませんが、そういった対応を怠ったといえるからです。前方車は特に問題なく道路を運転しているだけなので、過失が認められません。

ただしこれは基本的な考え方であり、具体的な事故の状況によっては前方車両にも過失割合が認められる可能性もあります。たとえば前方車両が蛇行していたり急ブレーキを踏んだりした場合などです。

バイクによる追い抜き時の過失割合について詳細を知りたい場合には弁護士へ相談しましょう。

3-2.左折車とバイクのすり抜け事故

次に前方車両が左折しようとしていたときに後方からバイクがやってきてすり抜けてきて接触した場合の過失割合をみてみましょう。

基本の過失割合

過失割合には基本の過失割合と修正要素があります。基本の過失割合とはその類型の交通事故で基本的に適用される過失割合です。

左折者とバイクのすり抜け事故における基本の過失割合は以下のとおりです。

左折車:バイク=80%:20%

左折車は後方に車やバイク、自転車や歩行者などがいないか注意しながら慎重に左折をしなければなりません。特にバイクや自転車の巻き込み事故は危険です。後方に十分注意をせずに左折してしまったことに大きな責任が認められるので、左折車の過失割合が80%、バイクの過失割合は20%となります。

修正要素

過失割合の修正要素とは、個別の交通事故の具体的な事情に応じて過失割合を加算したり減産したりするための考慮要素です。

左折者とバイクのすり抜け事故の場合、以下のような修正要素が適用されます。

左折車の過失割合が加算される修正要素

修正要素左折車に加算される過失割合
左折車が大型車両+5%
左折の合図が遅れた+5%
左折車が徐行しないで左折した+10%
左折車が大回り左折した
進入路が鋭角だった
+10%
左折車が左折の合図をしなかった+10%
左折者がバイクの直近で左折した+10%

バイクの過失割合が加算される修正要素

修正要素バイクに加算される修正要素
バイク側に著しい前方不注意+10%
バイク側に15㎞以上の速度違反+10%
バイク側に30㎞以上の速度違反+20%

3-3.対向車線からすり抜けてきたバイクと右折車の接触事故

車で右折しようとしているところに、対向車線からバイクがすり抜けてきて接触してしまった場合の交通事故の過失割合をみてみましょう。

このパターンの交通事故の基本の過失割合は、右折車が85%、バイクが15%となります。

右折車:バイク=85%:15%

修正要素
  • バイクに著しい前方不注意…バイク側の過失割合が+10%
  • 右折車が徐行していない、合図を出していない…右折車の過失割合が+10%

上記過失割合は、信号が無い交差点を基準としています。バイクのすり抜け事故は、信号がある交差点でも当然生じますので、その時には信号の色が過失割合の判断にとても重要になってきます。以下の通り、交差点への進入や右折のタイミングの際の信号の色によって、過失割合は変わります。

バイクの
信号機の色
右折車の
信号機の色
バイクの
過失割合
右折車の
過失割合
15%85%
青信号で進入して
黄信号で右折
60%40%
30%70%
40%60%
青信号で進入して
赤信号で右折
80%20%
黄信号で進入して
赤信号で右折
60%40%
右折の
青矢印信号
100%0%

3-4.車がドアを開けていた場合にすり抜けてきたバイクと接触した事故

車が道路上でドアを開けていたとき、後ろからバイクがすり抜けようとして直進してきて接触事故が起こった場合、過失割合をみてみましょう。

なおこういった交通事故を「ドア開放事故」といいます。車が停まっていてもドアを開放していて自転車やバイクに接触すると交通事故になってしまうので、ドライバーの方はドアを開いて放置しないように十分注意すべきです。

基本の過失割合

ドア開放事故の基本の過失割合は、車が90%、バイクが10%です。

車:バイク=90%:10%

前方の車はドアを開くとき、後方から自転車やバイクなどが来ていないか十分注意しなければなりません。それにもかかわらず不注意でドアを開いて後方車両をぶつかってしまったことに高い過失が認められるので、過失割合は90%になります。ただしバイク側にも一定の前方不注視があると考えられるので10%の過失割合が認められます。

修正要素

車の過失割合が加算される修正要素

車側の過失割合が増やされる修正要素は以下のとおりです。

事故の状況車に加算される過失割合
事故が夜間に発生した+5%
前方車両がハザード
ランプを出さなかった
+5%
バイクがすり抜ける
直前にドアを開放した
+10%
バイクが前方車両の
ドア開放を予測できた
+10%
バイクが15㎞以上の速度違反+10%
バイクが30㎞以上の速度違反+20%

3-5.著しい過失、重過失がある場合の修正

車の側もバイクの側も、「著しい過失」や「重過失」があると過失割合が加算されます。
著しい過失とは、通常想定されているよりも大きな過失です。たとえば以下のような事情があれば著しい過失が認められます。

  • 著しいハンドルブレーキ操作不適切
  • 著しい前方不注視、脇見運転
  • スマホやカーナビを見ながらの「ながら運転」
  • 酒気帯び運転
  • 時速15キロメートル以上の速度違反

著しい過失があると、その車両の過失割合が5~15%程度加算される可能性があります。

重過失とは、故意にも匹敵するほどの重大な過失です。たとえば以下のような場合が該当します。

  • 酒酔い運転
  • 居眠り運転
  • 無免許運転
  • 時速30キロメートル以上の速度違反

重過失があると、その車両の過失割合が10~20%程度加算されるケースが多数です。

車やバイクを運転するときには、著しい過失や重過失とみなされる行為をしないことが大切です。

4.バイクのすり抜けが違法になるケース

バイクによるすり抜け行為は違法になるケースもよくあるので、注意しましょう。

過失割合は、基本的には、道路交通法上の違法行為の有無によって決まります。裁判例で定式化されていないケースであっても、すり抜けが違法と評価された場合は、バイク側に不利な過失割合として考慮される可能性が十分にあります。

バイクのすり抜けが道路交通法の違反対象となるのは、以下の場合です。

  • バイクが白い実線や黄色い実線をはみ出して追い越した
  • 追い越し禁止場所で追い越した

追い越し禁止場所とは、具体的にいうと以下のような場所です。

  • 曲がり角付近
  • 上り坂の頂上付近
  • 急こう配の下り坂
  • トンネルの中
  • 交差点、踏切、横断歩道や自転車横断帯とその手前30m
  • 割り込みによるすり抜け
  • 追い越し方法違反

それぞれがどういった状況なのか、詳しくみてみましょう。

4-1.バイクが白い線や黄色い線をはみ出して追い越した

道路の車線にはいくつかの種類があり、追い越しが禁止される場所があります。
車線は以下の3つに分けられます。

  • 白い破線…はみ出しや追い越しをしてもかまわない
  • 白い実線…はみ出し禁止
  • 黄色い実線…追い越す目的でのはみ出しが禁止

このように、白い実線や黄色い実線の場合にはバイクが線をはみ出して追い越すと違法担ってしまいます。

追い越しが合法になるケース

白い破線の場合

白い破線の場合、はみ出しても違法ではありません。車線を越えてバイクが車を追い越しても合法です。

白い実線や黄色い実線で車線をはみ出さない場合

白い実践や黄色い実践の場合でも、線をはみ出さなければ違法ではありません。追い抜きが認められます。
ただし車線をはみ出さないように追い抜こうとすると前方車両に車体を寄せなければならず危険が増すでしょう。無理に白い実線や黄色い実線の場所で前方車両を追い抜こうとするのは控えた方が良いでしょう。

4-2.追い越し禁止場所における追い越し

道路交通法王、追い越しが禁止される場所があります。そういった場所で無理に追い越すのは違法です。
追い越し禁止場所になるのは以下のような場所です。

  • 曲がり角付近
  • 上り坂の頂上付近
  • 急こう配の下り坂
  • トンネルの中
  • 交差点、踏切、横断歩道、自転車横断帯とその手前30m

追い越し禁止場所に関するルールは、道路交通法第30条に規定されています。

道路交通法30条

車両は、道路標識等により追越しが禁止されている道路の部分及び次に掲げるその他の道路の部分においては、他の車両(軽車両を除く。)を追い越すため、進路を変更し、又は前車の側方を通過してはならない。
一 道路のまがりかど附近、上り坂の頂上附近又は勾こう配の急な下り坂
二 トンネル(車両通行帯の設けられた道路以外の道路の部分に限る。)
三 交差点(略)、踏切、横断歩道又は自転車横断帯及びこれらの手前の側端から前に三十メートル以内の部分

交差点や踏切、横断歩道、自転車横断帯とその手前30mの場所では追い越しだけではなく追い抜きも禁止されます。

道路交通法38条3項

車両等は、横断歩道等及びその手前の側端から前に三十メートル以内の道路の部分においては、第三十条第三号の規定に該当する場合のほか、その前方を進行している他の車両等(軽車両を除く。)の側方を通過してその前方に出てはならない。

4-3.割り込みによるすり抜け

バイクが前方車両の間に割り込んですり抜けると危険なので、道路交通法によって禁止されます。たとえば赤信号のときに停止している車や渋滞中の車の間をすり抜けようとすると違法になってしまいます。

(割込み等の禁止)

道路交通法32条

車両は、法令の規定若しくは警察官の命令により、又は危険を防止するため、停止し、若しくは停止しようとして徐行している車両等又はこれらに続いて停止し、若しくは徐行している車両等に追いついたときは、その前方にある車両等の側方を通過して当該車両等の前方に割り込み、又はその前方を横切つてはならない。

信号無視になる可能性もある

前方車両が赤信号で信号待ちをしているときに、その車の前に割り込んで交差点の停止線を超えてしまうと、信号無視になります。違法行為が重なって責任が重くなってしまうので、そういったことにないように注意しましょう。

4-4.追い越し方法違反

道路交通法により、追い越し方法が決められています。
後方車両が車線をまたいで前方車両を追い越す場合、原則として前方車両の右側を走行しなければなりません。

(追越しの方法)

道路交通法28条1項

車両は、他の車両を追い越そうとするときは、その追い越されようとする車両(以下この節において「前車」という。)の右側を通行しなければならない。

ただし車線変更しないで追い抜く場合には左側からでもかまいません。

一方、前方車が右折するために道路の中央や右端に寄っている場合に追い越す場合、後方車は左側から追い越しをしなければなりません。

28条2項

車両は、他の車両を追い越そうとする場合において、前車が第二十五条第二項又は第三十四条第二項若しくは第四項の規定により道路の中央又は右側端に寄つて通行しているときは、前項の規定にかかわらず、その左側を通行しなければならない。

4-5.路側帯を通っての追い抜き

道路の両端には白い線で区切られた細い通路がもうけられている場所があります。
この白い線を「車道外側線」といいます。
そして車道外側線の外側の通路が「路側帯」の場合、バイクの通行は禁止されているので、バイクは通行できません。路側帯を使った追い越しや追い抜きは違法です。

一方、車道外側線の細い通路が「路肩」の場合もあります。路肩であればバイクも通って良いことになっているので、路肩を通って前方の自動車を追い抜く行為は合法です。

路側帯に該当する場合

路側帯に該当してすり抜けができないのは以下のような場合です。

  • 外側に歩道がない
  • 歩行者のためのスペースで、車両は立ち入ってはならない

路肩に該当する場合

路肩に該当してすり抜けができるのは以下のような場合です。

  • 外側に歩道がある
  • 人の乗り降りや荷物の積み下ろしのために駐車できる

バイクが違法行為をしていると、当然バイク側の過失割合が上がります。バイクを運転する場合には危険な違法行為をしてしまわないように十分注意すべきといえるでしょう。

5.交通事故で過失割合が重要な理由

交通事故に遭った場合には、過失割合が極めて重要です。なぜなら過失割合が認められると「過失相殺」されてしまうからです。

過失相殺とは、被害者の過失割合の分、相手へ請求できる賠償金を減額されることです。
たとえば被害者に80%の過失割合がある場合、相手に請求できる賠償金は80%減となってしまいます。
具体的な事例にあてはめると、バイクのすり抜け事故で1000万円の損害が発生していても、自分の過失割合が20%の場合には請求できる賠償金が800万円となってしまうのです。
自分の過失割合が80%なら200万円しか請求できません。

過失割合は交通事故の賠償金の金額に大きな影響を与えるので、被害者にも加害者にとっても非常に重要といえます。

示談の段階であっても安易に妥協せず、法的な基準によって妥当な過失割合を定めましょう。

6.保険会社が主張する過失割合は正しいとは限らない

交通事故の過失割合には基本の過失割合と修正要素があり、それぞれのパターンによってだいたいどの程度の過失割合になるかが決まっています。
ただし保険会社の主張する過失割合が必ずしも適正とは限りません。被害者側に高い過失割合を押し付けてくるケースもよくありますし、修正要素が正しく盛り込まれていないケースも多数あります。保険会社から過失割合を提示されたら、まずはその数値が正しいといえるのか調べましょう。

交通事故の適正な過失割合を調べる方法には、自分で調べる方法と弁護士に相談する方法があります。

6-1.自分で調べる方法

自分で調べる場合には、交通事故の過失割合についてまとめた本を利用しましょう。
「別冊判例タイムズ 民事交通訴訟における過失相殺率の判断基準」という本にはほとんどあらゆる事故のパターン別基本の過失割合と修正要素が書かれています。
通信販売でも購入できますし、メルカリなどフリマアプリで出品されているケースもあるので、購入して利用するとよいでしょう。

ただし判例タイムズの記載方法は素人の方にはわかりにくいこともあります。また過失割合を算定する場合には事故発生時の具体的かつ詳細な事情を考慮しなければなりません。せっかく判例タイムズを参照しても、間違えて理解してしまうと適正な過失割合をあてはめられないケースもあるので注意してください。

6-2.弁護士に相談する方法

より確実に適正な過失割合を知るには、弁護士に相談するようおすすめします。
弁護士は示談交渉や交通事故の専門家なので、事故の具体的な状況に応じた適正な過失割合を算定してくれます。
保険会社の算定した過失割合とは異なるケースが多いので、保険会社から示談条件の提示を受けた場合にはすぐに受け入れるのではなく、まずは弁護士に確認する方が安心でしょう。

7.保険会社の提示する過失割合に納得できない場合の対処方法

保険会社の提示するバイクのすり抜け事故の過失割合に納得できない場合には、以下のように対応しましょう。

7-1.事故の状況が噛み合っていない場合

保険会社との間で事故の状況についての認識が噛み合わないケースがよくあります。
この場合、まずは事故状況がどのような様子であったかを明らかにしなければなりません。
以下のような証拠を用意して相手へ提示しましょう。

  • ドライブレコーダーの記録
  • 事故現場周辺の駐車場やコンビニ、路上などに設置されていた監視カメラの記録
  • 事故現場や事故車両の写真
  • 実況見分調書や供述調書(警察官が作成)
  • 信号機のサイクル記録

信号機のサイクル記録や監視カメラなどは被害者が収集するのは難しいですが、弁護士であれば職権で取得できる可能性があります。
また実況見分調書や供述調書も弁護士に依頼した方がスムーズなので、バイクのすり抜け事故の過失割合について困ったときには弁護士に相談すると良いでしょう。

7-2.保険会社へ適正な過失割合を提示する

事故の状況についての認識は合致している場合でも、保険会社が不適正な過失割合を割り当ててくるケースがよくあります。その場合、相手保険会社へ適正と考えられる過失割合を提示しましょう。

ただしこの場合「相手が悪いから○○%が妥当」などといっても通用しません。あくまで法的な主張をしなければとおらないので、判例タイムズの基準を持ち出して交渉すべきです。
たとえば「判例タイムズの○○ページの○○によると、過失割合は○:○となっています。修正要素として~が適用されるので、最終的な過失割合は○:○になるはずです。再考をお願いします」などと伝えると良いでしょう。

被害者が保険会社へ適切な過失割合を伝えても、保険会社が同意するとは限りません。保険会社側は被害者へ過大な過失割合を割り当てたまま考えを曲げないケースも多いので、その場合には弁護士に依頼するか訴訟をするしかなくなります。

7-3.弁護士に示談交渉を依頼する

自分で適切な過失割合を提示しても聞き入れられない場合などには、弁護士へ過失割合についての交渉を依頼しましょう。
弁護士であればより正確に判例タイムズなどの書籍や裁判例を引用できますし保険会社の説得もうまくできます。結果的に保険会社も弁護士の提示を受け入れるケースが多くなります。

保険会社がどうしても無理な主張を続ける場合、訴訟を起こして適正な過失割合を認定してもらうことも可能です。

保険会社から提示された過失割合に納得できない場合、早めに弁護士に相談しましょう。

8.バイクのすり抜け事故で弁護士に相談するメリット

バイクのすり抜け事故に遭ったら、早めに弁護士に相談するようおすすめします。
弁護士に相談や依頼をするといろいろなメリットがあるからです。

以下でバイクのすり抜け事故を弁護士に相談すべき理由をお伝えします。

8-1.正確に過失割合を算定できる

弁護士に相談すると、適正な過失割合を算定してもらえます。
保険会社の提示する過失割合が適正でなくても、弁護士に相談すれば適正な過失割合を当てはめることができるでしょう。その結果、過失相殺される金額が少額になって賠償金額が大きくアップするので被害者は大きな利益を得られます。

8-2.後遺障害認定を受けやすくなる

バイクのすり抜け事故では、バイク側が大ケガをしてしまうケースもよくあります。
治療を受けても後遺症が残ったら、自賠責で後遺障害認定を受けなければなりません。
被害者が自分で対応するとあまりうまく対応できないため、本来は後遺障害認定を受けられるのに非該当となってしまったり等級を下げられたりするケースがよくあります。

弁護士であれば「被害者請求」という方法を利用するなどして、さまざまな資料を集めて適正な等級が認定されるように効果的に活動できます。
被害者が自分で対応するよりも適正な等級の後遺障害認定を受けやすくなることも、弁護士に示談交渉を依頼するメリットといえるでしょう。

8-3.弁護士基準で計算して賠償金が増額される

交通事故の賠償金計算方は1種類ではありません。自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準(裁判基準)の3種類があります。自賠責基準とは自賠責保険が利用する基準、任意保険基準は任意保険会社が定める基準、弁護士基準(裁判基準)は弁護士や裁判所が利用する法的な基準です。

保険会社が被害者と示談交渉をする場合、法的基準より低額な任意保険基準を適用してきます。その結果、本来受け取れるよりも賠償金額が減額されてしまうのです。
弁護士に依頼すると適正な弁護士基準が適用されるので、被害者が自分で示談交渉するよりも大きく賠償金がアップするケースが多々あります。
特に慰謝料は弁護士基準で計算すると、任意保険基準の2~3倍程度になるケースもあるので無視できません。

高額で適正な賠償金を受け取るためにも、示談交渉は弁護士へ依頼しましょう。

8-4.手間がかからない

交通事故後の対応には非常に手間がかかります。
自分で過失割合を調べたり保険会社と交渉したりすると時間も労力もかかるでしょう。
弁護士に依頼すると、必要な調査や証拠収集、保険会社との示談交渉などほとんどすべての対応を一任できます。
被害者に手間がかからなくなることも大きなメリットといえるでしょう。

8-5.ストレスもかからない

交通事故後の示談交渉には非常にストレスがかかるものです。
保険会社が過大な過失割合を当てはめてきたり、スムーズに対応しなかったりして精神的に追い詰められてしまう人も少なくありません。
弁護士に依頼すると保険会社との対応はすべて弁護士が行うので被害者が直接相手と連絡する必要はありません。また「法律の専門家が味方になってくれている」という安心感も得られます。
ストレスを軽減できることも弁護士に依頼する大きなメリットといえるでしょう。

8-6.弁護士費用について

交通事故で弁護士に相談や依頼をすると、「高額な弁護士費用がかかるのではないか?」と不安で相談できない方が多くいらっしゃいます。
しかし実際には弁護士に相談・依頼してもさほど高額な費用はかからないケースがよくあります。

特に「弁護士費用特約」を適用できれば、弁護士の相談料や示談交渉、訴訟などにかかる費用を全額保険会社が負担してくれます(ただし限度額が300万円なので、それを超える費用が発生すると自費になります)。
自分の加入している自動車保険だけではなく家族の加入している自動車保険や運転していた車両の自動車保険に弁護士費用特約がついているケースも多いので、まずは自動車保険の加入状況を確認しましょう。
また弁護士費用特約は自動車保険以外の生命保険や医療保険、個人賠償責任保険や火災保険などについているケースもよくあります。
バイクのすり抜け事故にあったら一度保険関係について契約内容を洗い出してみましょう。

弁護士費用特約を使えない場合でも、完全成功報酬制の弁護士事務所に依頼すれば着手金が不要です。相手から回収できた場合のみその数%~数十%の報酬金が発生するので、被害者側に持ち出しがありません。
弁護士費用特約が適用されないケースで弁護士費用が心配な方は、完全成功報酬制の弁護士事務所へ相談してみるようおすすめします。

9.バイクのすり抜け事故に遭ったら弁護士へご相談ください

横浜クレヨン法律事務所は交通事故に非常に力を入れている弁護士事務所です。
各保険会社の弁護士費用特約を適用できますし、弁護士報酬については完全成功報酬制を適用しています。初回30分は無料相談も承っていますので、バイクのすり抜け事故に遭われてお困りの方がおられましたら、まずはお気軽にご相談ください。