信号機のない交差点で事故が発生すると、お互いの過失割合について意見が合わずトラブルになるケースが多々あります。

 

ここでは信号機のない交差点において「左方から進行してきた左折車」と「右方を直進してきた直進車」が接触してしまった交通事故の過失割合を、パターン別にご紹介します。

 

道路幅が同程度

 

信号機のない交差点で左折車と直進車が接触事故において道路幅が同程度の場合の過失割合

 

基本の過失割合

道路幅が同程度の場所で交通事故が発生した場合、基本の過失割合は、直進車:左折車=50:50になります。

 

道路交通法上、交差点においては「左方車優先の原則」が適用されます(道路交通法36条1項1号)。すなわち交差点の左方から進入してくる自動車の過失割合が低くなるのが原則です。

 

ただこの原則は、左方車が直進するケースを前提としています。本件のように左方車が左折する場合、直進車の進行方向の道路へと入っていくので直進車の進路を妨害してしまいます。また左折車が交差点内で左に進行方向を変えて、直進車と同程度まで加速するには時間がかかります。その間にも直進車に接触する危険が高くなるでしょう。

そこで左折車の場合には左方であっても「左方車優先の原則」がそのまま適用されず、それなりの過失を認めます。

結論として直進車と左折車には同程度の過失があるといえ、直進車も左折車も過失割合は50%とされます。

信号機のない交差点上の直進車と左折車の交通事故において、基本の過失割合は、以下のような個別事情によって修正される可能性があります。

  • 左折車が徐行していない…左折車に10%加算
  • 左折車に著しい過失…左折車に10%加算
  • 左折車に重過失…左折車に20%加算

 

  • 事故現場は見通しのきく場所であった…直進車に10%加算
  • 直進車が減速しなかった…直進車に10%加算
  • 直進車に著しい過失…直進車に10%加算
  • 直進車に重過失…直進車に20%加算

 

見通しのきく場所で修正される理由

このパターンの基本の過失割合(直進車:左折車=50:50)は、事故現場が「見通しのきかない場所」である状況を前提としています。見通しがきかない場所では、直進車にとって横から出てくる左折車が見えにくくなるので、直進車の過失割合が低めに抑えられています。

 

これに対し事故現場が見通しのきく場所であれば、直進車は左方から出てくる左折車を事前に確認しやすく、事故を避けるのが容易になるでしょう。それにもかかわらず漫然と直進して事故につながったといえるので、直進車の過失割合を加算されます。

 

著しい過失とは

著しい過失とは、通常の想定を超える不注意です。時速15キロメートルを超えるスピード違反、著しいハンドル・ブレーキ操作不適切、スマホやカーナビ、テレビを見ながらの運転、酒気帯び運転などが該当します。

重過失とは

重過失とは、故意とも同視すべき悪質な過失です。時速30キロメートルを超えるスピード違反、酒酔い運転、居眠り運転、無免許運転などが該当します。

 

著しい過失、重過失の修正要素は次項以下でも出てくるので、覚えておきましょう。

 

直進車の走行道路が明らかに広い場合

 

信号機のない交差点で左折車と直進車が接触した交通事故における直進車の走行道路が明らかに広い場合の過失割合

 

基本の過失割合

直進車が走行してきた道路が明らかに広く左折車の走行道路が明らかに狭い場合、基本の過失割合は狭路車(左折車):広路車(直進車)=70:30となります。

 

道路交通法上、交差点において狭路を走行してきた車は広路を走行してきた車へ道を譲らねばならないと規定されています(道路交通法36条2項)。それにもかかわらず注意を怠って広路車へ接触した狭路車の過失割合は高くなるでしょう。

そこで基本的に広路車(直進車)の過失割合が30%、狭路車(左折車)の過失割合が70%とされます。

 

なおこの基本の過失割合において、直進車が狭路、左折車が広路のケースは想定されていません。直進車が狭路、左折車が広路の場合には個別的な事情に依存する度合いが高く、パターン化に適さないと考えられているからです。

広路車(直進車)と狭路車(左折車)が接触した交通事故における修正要素は、以下のとおりです。

  • 狭路車が徐行しなかった…狭路車に10%加算
  • 狭路車に著しい過失…狭路車に10%加算
  • 狭路車に重過失…狭路車に20%加算

 

  • 広路車が減速しなかった…広路車に10%加算
  • 広路車に著しい過失…広路車に10%加算
  • 広路車に重過失…広路車に20%加算

 

左折車側に一時停止規制がある場合

信号機のない交差点で左折車と直進車が接触した交通事故における左折者側に一時停止規制がある場合の過失割合

 

基本の過失割合

左折車側に一時停止の規制があった場合、一時停止義務のある左折車:一時停止義務のない直進車=80:20となります。

 

なお、これは「一時停止義務があるにもかかわらず一時停止せずに交差点に進入した場合」を想定しています。一時停止義務を守った場合には修正要素によって考慮します。

 

交差点において一方に一時停止義務がある場合、交差点に入る前にいったん停止して周囲の安全を確かめなければなりません。その上で、交差点へ進入した後も、交差道路を進行する車両の妨害をしてはならないと規定されています(道路交通法43条)。

それにもかかわらず一時停止義務を守らず交差点に進入し、相手に接触したら高い過失割合が認められて当然といえるでしょう。

そこで一時停止義務のある車両(左折車)の過失割合が80%、ない車両(直進車)の過失割合が20%となります。

一時停止義務のある左折車とない直進車が接触した交通事故における過失割合の修正要素は、以下の通りです。

  • 一時停止義務のある左折車が徐行しなかった…左折車に10%加算
  • 一時停止義務のある左折車に著しい過失…左折車に10%加算
  • 一時停止義務のある左折車に重過失…左折車に20%加算

 

  • 一時停止義務のある左折車が一時停止してから進入…一時停止義務のない直進車に15%加算
  • 一時停止義務のない直進車が減速しなかった…直進車に10%加算
  • 一時停止義務のない直進車の著しい過失…直進車に10%加算
  • 一時停止義務のない直進車の重過失…直進車に20%加算

 

 

直進車が優先道路の場合

信号機のない交差点で左折車と直進車が接触した交通事故における直進車が優先道路の場合の過失割合

基本の過失割合

直進車が優先道路だった場合、基本の過失割合は優先道路車(直進車):非優先道路車(左折車)=10:90となります。

 

交差点において、一方が優先道路を走行している場合には、非優先道路車は優先道路車の進行を妨害してはなりません(道路交通法36条2項)。そこで基本的には優先道路車の過失割合が低くなります。

 

そこで基本的に優先道路を走行していた直進車の過失割合が10%、非優先道路を走行してきた左折車の過失割合が90%となります。

 

なおこのパターンでは、直進車が優先道路であるケースを想定しています。直進車が非優先道路の場合には個別的事情による影響が大きくなるので、パターン化に適さないと考えられています。

直進車が優先道路の場合の修正要素は、以下の通りです。

  • 非優先道路車(左折車)が徐行しなかった…非優先道路車(左折車)に10%加算
  • 非優先道路車(左折車)に著しい過失…非優先道路車(左折車)に10%加算
  • 非優先道路車(左折車)に重過失…非優先道路車(左折車)に20%加算

 

  • 優先道路車(直進車)に著しい過失割合…優先道路車(直進車)に10%加算
  • 優先道路車(直進車)に重過失…優先道路車(直進車)に20%加算

 

過失割合に納得できない場合、弁護士にご相談を

交通事故の過失割合は、事故の具体的な状況によって大きく異なってきます。特に今回ご紹介したような「信号機のない交差点」での事故では、信号機の色によって過失割合を判定できないので、当事者間で意見が割れやすい傾向があります。

保険会社が主張する過失割合が必ずしも正しいとは限りません。弁護士が示談交渉に対応すると、被害者側の過失割合を大きく下げられる可能性があります。

 

被害者の過失割合を過大に評価されてしまったら、相手に請求できる慰謝料や賠償金を大きく減額されてしまい、不利益となるでしょう。過失割合に納得できない場合、適正な過失割合を知りたい場合には、お早めに弁護士までご相談ください。