信号機のない交差点で直進車と右折車が接触した交通事故の過失割合(右折車が右方)

信号機のない交差点では、直進車と右折車が接触してしまう交通事故が多発します。

示談の際に不利益を受けないよう、パターンごとの適切な過失割合を把握しておきましょう。

 

今回は「直進車」と「右折車」の接触事故で、右折車が右側を走行していたケースをとりあげて、基本の過失割合と修正要素を解説します。

 

道路幅が同程度のケース

交差点における右折車が右側にいて道路幅が同程度の場合の過失割合

基本の過失割合

直進車:右折車=30%:70%

 

交差する道路の幅が同程度で特に優先関係もなく、一時停止規制もない原則的な交通事故の過失割合です。

交差点上では道路交通法37条により、右折車よりも直進車が優先されます。また道路交通法36条1項1号には「右方車よりも左方車が優先する」と規定されています。そこで右方右折車の過失割合が高くなり、左方直進車の過失割合は低くなります。結果として直進車(左方)と右折車(右方)の過失割合はそれぞれ30%:70%となります。

交通事故における基本の過失割合は、さまざまな個別事情によって修正される可能性があります。過失割合を修正する事情を「修正要素」といいます。

 

道路幅が同程度、直進車(左方)と右折車(右方)の交通事故における過失割合の修正要素をみてみましょう。

 

  • 直進車が減速しなかった…直進車に10%加算
  • 右折車が既に右折していた…直進車に15%加算
  • 直進車が時速15キロメートル以上の速度違反…直進車に10%加算
  • 直進車が時速30キロメートル以上の速度違反…直進車に20%加算
  • 直進車に酒気帯び運転など著しい過失…直進車に10%加算
  • 直進車に酒酔い運転、居眠り運転などの重過失…直進車に20%加算
  • 右折車が徐行しなかった…右折車に10%加算
  • 右折車が右折禁止違反をしていた…右折車に10%加算
  • 右折車に酒気帯び運転など著しい過失…右折車に10%加算
  • 右折車に酒酔い運転、居眠り運転などの重過失…右折車に20%加算

 

*著しい過失、重過失について

著しい過失とは通常の過失を大きく上回る過失です。たとえば酒気帯び運転スマホやカーナビをみながらの「ながら運転」著しいハンドルブレーキ操作不適切などによる運転などがあてはまります。

重過失は故意とも同視できるような悪質な過失をいいます。酒酔い運転居眠り運転無免許運転などのケースで認められます。

 

一方が明らかに広い道路のケース

右折車が狭路から広路へ出る場合

 

右折車が狭路から広路へ出る場合の過失割合

基本の過失割合

直進車:右折車=20%:80%

 

交差点上で一方が明らかに広い道路の場合、広路車が優先されます(道路交通法36条2項)。そこで広路を走行していた直進車が優先され、右折車の過失割合は上がります。基本の過失割合は直進車:右折車が20%:80%となります。

  • 直進車が徐行しなかった…直進車に10%加算
  • 右折車が既に右折していた…直進車に15%加算
  • 直進車が時速15キロメートル以上の速度違反…直進車に10%加算
  • 直進車が時速30キロメートル以上の速度違反…直進車に20%加算
  • 直進車に著しい脇見運転などの著しい過失…直進車に10%加算
  • 直進車に居眠り運転などの重過失…直進車に20%加算
  • 右折車が徐行しなかった…右折車に10%加算
  • 右折車が右折禁止違反をしていた…右折車に10%加算
  • 右折車が早回り右折した…右折車に10%加算
  • 右折車に著しい過失…右折車に5%加算
  • 右折車に重過失…右折車に10%加算

 

右折車が広路から狭路へ入る場合

右折車が広路から狭路へ入る場合に起きた接触事故による過失割合

基本の過失割合

直進車:右折車=50%:50%

 

右折車が広路を走行してきて直進車の走行する狭路に入る場合、広路車が優先されるので右折車の過失割合は基本的に低くなるはずです(道路交通法36条2項)。ただし左側を走る直進車が優先されるという規定もありますし(道路交通法36条1項)、交差点上では右折車よりも直進車が優先されるという規定もあります(道路交通法37条)。

 

こういった事情をすべて考慮すると、広路の右折車(右方)と狭路の直進車(左方)の交通事故では双方に同等の過失割合があると認められ、基本の過失割合は、直進車が50%、右折車も50%となります。

 

  • 直進車が減速しなかった…直進車に10%加算
  • 右折車が既に右折していた…直進車に15%加算
  • 直進車が時速15キロメートル以上の速度違反…直進車に10%加算
  • 直進車が時速30キロメートル以上の速度違反…直進車に20%加算
  • 直進車に著しい過失…直進車に10%加算
  • 直進車に重過失…直進車に20%加算
  • 右折車が徐行しなかった…右折車に10%加算
  • 右折車が右折禁止違反していた…右折車に10%加算
  • 右折車に著しい過失…右折車に10%加算
  • 右折車に重過失…右折車に20%加算

 

一方に一時停止規制がある場合

右折車に一時停止規制がある場合

右折車に一時停止規制がある場合の過失割合

基本の過失割合

直進車:右折車=15%:85%

 

右折車側に一時停止規制がある場合、右折車は交差点に入る前に一時停止しなければなりません。そうすると直進車を確認できるので、事故を避けられたはずです。それにもかかわらず交差点に入り事故を起こした点に高い過失が認められるので、右折車の過失割合が上がります。

結果として直進車の過失割合は15%、右折車の過失割合は85%となります。

  • 直進車が減速しなかった…直進車に10%加算
  • 右折車が既に右折していた…直進車に15%加算
  • 右折車が一時停止してから交差点に進入した…直進車に15%加算
  • 直進車が時速15キロメートル以上の速度違反…直進車に10%加算
  • 直進車が時速30キロメートル以上の速度違反…直進車に20%加算
  • 直進車に著しい過失…直進車に10%加算
  • 直進車に重過失…直進車に20%加算
  • 右折車が徐行しなかった…右折車に10%加算
  • 右折車が右折禁止違反していた…右折車に10%加算
  • 右折車が早回り右折した…右折車に10%加算
  • 右折車に著しい過失…右折車に10%加算
  • 右折車に重過失…右折車に15%加算

 

直進車に一時停止規制がある場合

直進車に一時停止規制がある場合の過失割合

基本の過失割合

直進車:右折車=60%:40%

直進車側に一時停止規制がある場合、直進車は交差点に入る前に一時停止をして周囲の安全を確かめなければなりません。そうすれば右折車の存在を確認できるはずなのに、不注意で交差点に入って事故を起こした点に高い過失が認められるでしょう。そこで基本の過失割合としては直進車が60%、右折車が40%とされます。

  • 直進車が減速しなかった…直進車に10%加算
  • 右折車が既に右折していた…直進車に15%加算
  • 直進車が時速15キロメートル以上の速度違反…直進車に10%加算
  • 直進車が時速30キロメートル以上の速度違反…直進車に20%加算
  • 直進車に著しい過失…直進車に10%加算
  • 直進車に重過失…直進車に20%加算
  • 右折車が徐行しなかった…右折車に10%加算
  • 右折車が右折禁止違反していた…右折車に10%加算
  • 直進車が一時停止してから進入した…右折車に15%加算
  • 右折車に著しい過失…右折車に10%加算
  • 右折車に重過失…右折車に20%加算

 

 

一方が優先道路の場合

右折車が非優先道路から優先道路へ入る場合

右折車が非優先道路から優先道路へ入る場合の接触事故における過失割合

基本の過失割合

直進車:右折車=10%:90%

 

交差点で交通事故が発生したとき、一方が優先道路であれば優先道路車が優先されるので(道路交通法36条2項)非優先道路車の過失割合が上がります。

また交差点においてはそもそも直進車が右折車より優先されるという規定もあります(道路交通法37条1項)。そこで非優先道路を走行してきた右折車には高い過失が認められ、直進車の過失割合が10%、右折車の過失割合が90%となります。

  • 右折車が既に右折していた…直進車に15%加算
  • 直進車が時速15キロメートル以上の速度違反…直進車に10%加算
  • 直進車が時速30キロメートル以上の速度違反…直進車に20%加算
  • 直進車に著しい過失…直進車に10%加算
  • 直進車に重過失…直進車に20%加算
  • 右折車が徐行しなかった…右折車に10%加算
  • 右折車が右折禁止違反していた…右折車に10%加算
  • 右折車が早回り右折した…右折車に10%加算
  • 右折車に著しい過失…右折車に5%加算
  • 右折車に重過失…右折車に10%加算

 

右折車が優先道路から非優先道路へ入る場合

右折車が優先道路から非優先道路へ入る場合の接触事故における過失割合

基本の過失割合

直進車:右折車=70%:30%

 

直進車が非優先道路を走行しており、右折車が優先道路から直進車の向かう非優先道路へ入るケースです。位置的には直進車が左側、右折車が右側となります。

 

この場合、優先道路を走行している右折車が基本的に直進車よりも優先されます(道路交通法36条2項)。よって直進車の過失割合が比較的高くなり、基本の過失割合は直進車が70%、右折車が30%となります。

  • 直進車が減速しなかった…直進車に10%加算
  • 右折車が既に右折していた…直進車に15%加算
  • 直進車が時速15キロメートル以上の速度違反…直進車に10%加算
  • 直進車が時速30キロメートル以上の速度違反…直進車に20%加算
  • 直進車に著しい過失…直進車に10%加算
  • 直進車に重過失…直進車に20%加算
  • 右折車が徐行しなかった…右折車に10%加算
  • 右折車が右折禁止違反していた…右折車に10%加算
  • 右折車が早回り右折した…右折車に10%加算
  • 右折車に著しい過失…右折車に10%加算
  • 右折車に重過失…右折車に20%加算

 

過失割合に納得できない場合、弁護士までご相談ください

交通事故に遭ったとき、被害者側と加害者側とで過失割合についての認識が合致せず大きなトラブルになるケースが少なくありません。特に信号機が設置されていない交差点の場合、さまざまな修正要素も適用されるため慎重な判断が必要となるでしょう。保険会社の主張する過失割合が必ずしも正しいとは限りません。

弁護士が交渉すると、被害者側の過失割合を大きく下げられるケースも多々あります。保険会社の主張する過失割合に疑問があるなら、示談してしまう前に弁護士までご相談ください。

 

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