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弁護士 鈴木 晶

一般の方々に、わかりやすく法律の知識をお届けしております。
難しい法律用語を、法律を知らない人でも分かるような記事の作成を心がけています。
交通事故に関する様々な悩みを持つ方々のために、当ホームページは有益な情報を提供いたします。

交通事故でケガをしたらどのくらいの期間、仕事を休めるのでしょうか?

交通事故で仕事を休むべき期間はケガの内容や程度によって大きく異なります。
無理をして悪化すると良くないので、治療に必要な範囲で休業しましょう。

また交通事故で仕事を休んだ場合には休業損害を請求できます。休業損害をどのくらいの期間払ってもらえるのかも押さえておきましょう。
この記事では交通事故で仕事を休む期間や休業損害がどのくらい支払われるのか、解説します。

交通事故でむちうちや骨折などのケガをしてしまった方はぜひ参考にしてみてください。

この記事でわかること

  • 交通事故で仕事を休む場合の期間
  • 休業損害の計算方法
  • 休業損害の計算における自賠責基準と弁護士基準の違い
  • 休業損害が支払われる期間
  • 休業損害を減額されないための対処方法
  • 治療より仕事を優先した場合のデメリット
  • 仕事をどうしても休めないときの対処方法
  • 交通事故後の仕事で悩んだら弁護士へ相談すべき理由

目次

1.交通事故で仕事を休む期間はケガによって異なる

交通事故でケガをした場合に仕事を休むべき期間はケースバイケースです。なぜなら事故によってケガの程度や仕事を休む必要性が異なるからです。

たとえば擦り傷などの軽傷であれば休む期間は短くて済みますし、骨折してしまったりすると休業期間が長くなるでしょう。

一般的な目安を示すと、交通事故のケガで仕事を休む期間は以下の通りです。

1-1.打撲などの軽傷の場合

打撲などの軽傷の場合、仕事を休む期間は2週間~1か月程度までとなるのが標準的です。

1-2.むちうち(頸椎捻挫)の場合

むちうち(頸椎捻挫)の場合、治療期間としては3か月間程度から6か月程度の期間のケースが多いのですが、仕事を休む期間(保険会社が補償を認めてくれる期間)は急性期・亜急性期の1か月~2か月程度になります。

1-3.骨折の場合

骨折した場合、治療に6か月程度はかかるケースが多数です。よって仕事を休む期間もだいたい6か月程度が目安になります。
ただ、軽微な骨折で6か月休業の必要性が認められるケースはそこまで多くなく、骨癒合しており、痛みをある程度我慢すれば生活に影響がない場合などは休業の必要性は認められません。

上記でご紹介した期間はあくまで目安です。実際の事故では同じ病名でも重傷のケースと軽傷のケースがあるので一概にいえません。
たとえばむちうちでも半年程度通院を続ける方がいますし、1か月程度の方もいます 。

1-4.安静期後も仕事を休んでいい

交通事故でケガをした当初は急性の症状が出るので安静が必要となります。
安静期は仕事ができないので、仕事を休むのが当然といえるでしょう。
では安静期を過ぎても仕事を休んで良いのでしょうか?

たしかに安静期を過ぎれば仕事に復帰できそうな気がするかもしれません。しかし安静期が終わっても以下のような危険が生じる可能性があります。

  • 自動車やバスなどに乗車中、患部が動いて症状が悪化する
  • パソコン作業などをしていて長時間同じ姿勢をとると症状が悪化してしまう
  • 人と話して相槌を打つなどして症状が悪化する

また安静期を過ぎてしばらくの間、通院が必要になるのが一般的です。

よって安静期を過ぎても必要に応じて仕事を休むべきです。
無理をして仕事にでたり、必要な通院をしないで仕事にでたりすると症状が悪化してしまうので、控えましょう。ただ、休養も無制限に認められるわけではなく、あくまで「休業の必要性」の範囲で認められるものですので、怪我に影響しない仕事があればそれを行った方が良いでしょう。

2.仕事を休む期間は医師と相談して決める

交通事故で仕事を休むべきかどうかは、ケガの治療が必要かどうかとかかわります。
休業すべきかどうかは医学的な判断事項です。

交通事故後、いつまで通院治療が必要かは医師が判断します。交通事故でいつまで仕事を休めば良いのかについては、治療期間と連動するので医師と相談して決めましょう。
基本的には医師が「治療が必要」と判断する範囲で通院を続け、必要に応じて仕事を休むべきです。

3.交通事故で仕事を休んだら休業損害が支払われる

「交通事故で仕事を休んだら減収が発生するのでは?」
と不安になる方もいます。

しかしその点については心配要りません。事故で仕事を休んだ期間は「休業損害」が支払われるからです。

3-1.休業損害とは

休業損害とは、交通事故で仕事を休んだときに発生する減収分の損害です。
交通事故に遭ったら、入通院などのために仕事を休まねばならないケースが多数です。
そうなると、本来ならできたはずの仕事ができなくなって損害が発生するでしょう。
休業によって生じる損害は交通事故がなかったら発生しなかったといえるので、事故の相手へ請求できます。それが休業損害に対する補償です。

つまり交通事故で仕事を休んで収入が減っても、その分は相手へ休業損害として請求できるので、100%の損失になるわけではありません。

3-2.休業損害が払われる人

休業損害が払われるのは、基本的に事故前に仕事をしていた方に限られます。
以下のような人であれば、仕事を休んだときに休業損害を請求できると考えましょう。

  • 会社員(正社員、契約社員、派遣社員)
  • アルバイト、パート
  • 自営業者
  • フリーランス
  • 主婦や主夫などの家事労働者

主婦や主夫などの家事労働者の場合、実際に収入を得ているわけではありません。しかし家事労働も価値のある仕事と評価されるので、家族のために家事をしている場合には休業損害を請求できます。

3-3.休業損害が支払われる場面

休業損害が払われるのは、単純に仕事を休んだときだけではありません。
以下のような場合に支払われます。

治療や自宅療養のために仕事を休んだ

交通事故のケガで仕事を休み、発生した休業損害です。

休業損害は以下のように計算します。

休業損害の額=事故前の平均賃金の日額×休業日数

事故前の平均賃金の日額について、仕事を休んだのが終日であれば1日分となりますが、半休をとった場合には半日分として計算します。

失業した場合

交通事故ではたらけなくなると、失業してしまうケースもあります。その倍には失業に対す補償も行われます。
基本的に、以下の「短い方の期間」に応じた休業損害を請求できると考えましょう。

  • 失業してから次の職に就けるまでの期間

失業してから就職活動を行って再就職した場合、次の職につけるまでの期間、休業損害が払われます。

  • 失業してから次の職に就けるまで必要と考えられる期間

失業後、なかなか就職できない場合などには、「次の仕事に就けるまでに必要と考えられる期間」の休業損害が払われます。就職しないからといっていつまでも休業損害を請求できるわけではないので、注意しましょう。

なお失業によって休業損害を払ってもらえるのは基本的に「会社都合」による解雇の場合だけです。
以下のような場合には自己都合退職となり、休業損害が払われない可能性があります。

  • 仕事を続けられるのに自主的に退職した
  • 会社から退職するよう勧められて、自分から退職願を提出した

ただし会社側から退職勧奨を受けた場合でも、自分から退職届を出さず会社側から退職を強く求められた場合には会社都合退職になる可能性があります。
退職勧奨を受けた場合の対処方法についてわからないことがあれば、弁護士までご相談ください。

就職遅れや内定取り消しが発生した場合

交通事故でケガをすると、就職時期が遅れてしまったり内定を取り消されたりするケースも少なくありません。
そんなときにも休業損害が払われる可能性があります。

このパターンで休業損害が払われる期間は、原則として「就職予定日から症状固定日」までの期間です。

  • 症状固定日とは

症状固定日とは、医師が「これ以上治療を続けても症状が改善しない」と判断した日です。
交通事故後の治療は基本的に症状固定日か完治日まで継続する必要があります。
症状固定日にも残っている症状が後遺症となり、後遺障害等級認定の判断の対象になります。

昇給や昇進が遅れた場合

交通事故で仕事を休むと、昇進や昇給できなくなったり遅れてしまったりするケースもあるでしょう。交通事故の休業損害は、事故の影響で昇給や昇進が遅れた場合、できなくなった場合にも払われます。
ただしそのためには、会社に「昇給・昇進する予定があったこと」を証明してもらう必要があります。また「どの程度の減収が生じたのか」を計算しなければなりません。
対応が難しくなる場合も多いので、迷ったら弁護士へ相談しましょう。

ボーナスが減った場合

交通事故で仕事を休むと、ボーナスが減額されるケースも少なくありません。
事故の影響でボーナスを減額されたら、減額された分も交通事故の相手へ請求できます。
ただしそのためには、どの程度の減収が発生したのかを証明しなければなりません。
会社に賞与減額証明書を作成してもらう必要があります。
賞与減額証明書とは、どの程度の賞与が払われる予定があり、交通事故によって実際にどの程度減額されたのかを証明するための書類です。

有給を取得した場合

交通事故後、通院するために有給を消費する方も多数います。有給を使ったら実際に減収が発生しないので休業損害は請求できないのでしょうか?

結論的に、有給を消費した場合でも休業損害を請求できます。有給は労働者に保障された権利であり、その権利を使ってしまったこと自体が損害といえるからです。

有給を消費しても休業損害を請求できるので、休業損害金を計算する際に間違えないようにしましょう。
※ 私傷病休暇で休んだ場合は、減給がない限り請求はできません。

残業ができなくなったり、配置転換によって減給されたりした場合

仕事を完全に休まなくても、事故による影響で残業をすることができなくなったり、怪我の影響がない職場に配置転換されたりして減給があった場合、その減給分を休業損害として請求できます。会社には、配置転換の理由を書面で出してもらうようにしましょう。

休業損害の計算方法

休業損害はどのようにして計算するのか、計算方法をご説明します。

4-1.基本の計算式

「休業損害額=事故前の平均賃金の日額×休業日数」

事故前の平均賃金の日額について

事故前の平均賃金の日額は、以下のようにして計算します。

  • 給与所得者の場合…事故前の3か月間における収入÷実労働した日数(90日で割り算することもあります)
  • 自営業者やフリーランスの場合…事故前年度の確定申告の申告所得÷365日(閏年の場合には366日)
  • 主婦や主夫などの家事労働者の場合…全年齢の女性の平均賃金額(約1万円)

なお自営業者の場合、赤字や申告していないケースもあるでしょう。その場合、確定申告書を用意できなかったり、赤字で計算がマイナスになってしまったりする可能性があります。そういったケースでも休業損害を請求できるケースがあります。詳しくは弁護士までご相談ください。

休業日数について

休業日数については、基本的に休業する必要のあった日数となります。
たとえば自宅療養した場合でも、休まざるを得なかった状況であれば休業損害を請求できます。むちうちの場合、首の痛み、頭痛やしびれなどの症状でどうしても仕事に行けないケースもあるでしょう。そういった場合、医師が自宅療養を指示していれば休業損害を請求できる可能性があります。自宅療養する際には、医師に「自宅療養が必要な状況であった」と診断書に記載してもらいましょう。
また入通院した日数は休業したことがわかりやすいので自宅療養よりも休業損害が認められやすくなっています。
一方、交通事故後のケガによる症状がでていないのに自主的に仕事を休んだ場合には休業損害を請求できません。

5.休業損害の計算における自賠責基準と弁護士基準の違い

休業損害の計算方法は、自賠責基準と弁護士基準とで大きく異なります。
任意保険会社も自賠責基準に近いケースが多いので、ここでは自賠責基準と弁護士基準を比較してご説明します。

5-1.自賠責基準とは

自賠責基準とは、自賠責保険会社が休業損害などの賠償金を計算する場合に適用される基準です。
自賠責保険は被害者に対する最低限の補償を目的としている保険なので、金額的には低額になります。
自賠責保険の場合の休業損害額は、以下の通りです。

1日あたりの収入(6100円)×休業日数

ただし被害者が実収入を証明できる場合には、実収入を基準に1日あたりの収入を計算してもらえます。その場合でも日額19000円が限度になります。

自賠責基準による休業損害計算の具体例

たとえば事故前3か月間の収入合計が80万円、その間の日数が90日の人が交通事故にあったとしましょう。その場合、1日あたりの収入額は8888円となります。この被害者が交通事故で30日仕事を休んだら、26万6666円の休業損害金を請求できます。

事故前3か月間の収入合計が200万円、その間の日数が90日の被害者の場合は1日あたりの収入額が22222円になります。すると1日19000円を超えてくるので、一日19000円として算定されます。この被害者が交通事故で30日休業したら、休業損害の金額が57万円となります。

専業主婦などで実収入のない方の場合、休業損害として6100円を採用します。
たとえば主婦が交通事故でケガをして20日仕事を休んだら、12万2000円の休業損害を請求できます。

5-2.弁護士基準とは

弁護士基準とは、弁護士や裁判所が利用する法的な賠償金の計算基準です。
金額的には自賠責基準やそれに近い任意保険基準よりかなり高額になります。
弁護士基準の場合には1日あたりの収入額を実収入によって算定します。自賠責基準と異なり19000円などの上限はありません。所得が高額な方に取っては弁護士基準の方が有利になるといえるでしょう。

専業主婦の場合には全年齢の女性の平均賃金を使って算定します。全年齢の女性の平均賃金を1日あたりに計算し直すと、だいたい1日1万円程度になります。
主婦が休業損害を請求する際にも、弁護士基準を使う方が得になるといえるでしょう。

6.休業損害が支払われる期間

仕事を休んだ場合の休業損害はいつからいつまで支払われるのでしょうか?
支払われる期間について、みてみましょう。

6-1.始期は交通事故に遭った日から

休業損害が払われる始期は、基本的に交通事故に遭った日です。交通事故が起こった日以降に病院へ行けば、基本的に休業損害の支払い対象になると考えましょう。

6-2.終期は完治または症状固定まで

休業損害が払われるのは、完治または症状固定までの期間内であり、かつ、休業が必要であると認められた期間です。
完治または症状固定までは入通院治療が必要で、その間に休業が発生すると考えられるからです。

以上をおおまかにまとめると、休業損害 証明書などの客観的な資料が用意できない場合は、「休業損害は交通事故に遭った日から完治または症状固定するまでの期間内で、かつ入通院などを行ったことにより休業の必要性が認められる日数」が一応の計算の目安となります。たとえば働けずに自宅待機した日や実際に入通院した日が休業損害の発生する日として認められます。

ワンポイント

むち打ちの場合、急性期は激しく首と腰や手 足の痺れが出ている場合でも、2~3週間が経過すると、ある程度動けるようにはなってきます。
 そういった症状の場合は、事故から2週間~1か月程度の期間は全額の休業補償が行われ、その後の1か月間は通院した日を休業の必要性がある日として取り扱われる、ということもあります。保険請求は、いわゆる「ずる休み」を認めないのです。
 一方、腕や足の骨折で現場作業ができない場合などは、比較的緩やかに休業損害が認められるケースが多いです。もっとも、現場作業ができなくとも、事務作業をすることができる場合、保険会社は全額の休業損害を認めてくれない場合もあります。現場作業から事務作業に移ったことによって減給が発生した場合は、その差額が休業損害となるのです。

※注意

完治や症状固定していないのに入通院を途中でやめてしまった場合、やめてしまった時期までの休業損害しか支払われません。休業損害を減らされないためにも、交通事故後の治療は、医師が「完治」「症状固定」と判断するまで継続しましょう。

7.休業損害を減額されないための対処方法

交通事故で任意保険会社と示談交渉をすると、さまざまな理由で休業損害を減額されるケースがよくあります。
以下では休業損害を減額されないための対処方法をお伝えします。

7-1.ケガをしたらすぐに病院へ行く

まず重要なのは、交通事故でケガをしたらすぐに病院へ行くことです。
ケガをしても病院に行かなければ、休業損害が払われません。また事故日と初診日が空いてしまうと、保険会社から「このケガは交通事故と関係ないものである」などといわれてしまう可能性もあります。

事故とケガの因果関係を証明できないと、休業損害が払われないので、事故に遭ったらすぐに通院しましょう。できれば事故に遭った当日、難しい場合でも翌日には病院へ行くべきです。

なお交通事故の治療を受けるべき診療科は、多くの場合整形外科です。むちうちや打撲、骨折などをみてもらえます。

7-2.治療に必要な範囲で定期的に通院する

交通事故後の通院治療の頻度にも注意が必要です。
事故後、たまに通院していても日数があまりに少ないと「もうケガは治っている」「休業の必要がない」と判断されて、休業損害を払ってもらえない可能性があるからです。
症状固定日までの休業損害を全額払ってもらうには、週2、3回以上は病院に通院した方が良いでしょう。

ただし通院は治療に必要な範囲で行うものなので、医師が必要ないと判断しているなら無理に通院する必要はありません。

7-3.完治または症状固定まで通院を継続する

3つ目に、完治か症状固定するまで通院を継続することも重要です。
休業損害は、完治または症状固定するまでの分が支払われるからです。
仕事を再開するため、通院が面倒になったためなどの理由で通院を途中でやめてしまったら、その分休業損害が減らされてしまいます。

完治や症状固定の時期は医師が判断します。自己判断で勝手に通院をやめず、医師が「完治」「症状固定」と判断するまで通院を継続しましょう。

7-4.保険会社から休業損害の打ち切りを打診された場合の対処方法

交通事故後、被害者が通院を継続していると保険会社から「もうそろそろ通院は終わりましょう」などといわれて、休業損害を打ち切られるケースが少なくありません。
その場合、どう対応すれば良いのかみてみましょう。

保険会社の申し入れを鵜呑みにしない

保険会社が休業損害の打ち切りを打診する際「むちうちの場合は2週間が限 度です』などと説明するケースもよくあります。
ただこういった保険会社担当者の言葉を鵜呑みにすべきではありません。
交通事故後の通院期間は医学的な判断を要するので、医師と相談して決める必要があります。
保険会社は目安としての期間を述べているだけで、そのケースに応じた判断をしているわけではありません。
保険会社から「そろそろ仕事に復帰してください 」などといわれてもそのまま受け入れないようにしましょう。

医師に相談する

保険会社から治療の終わりを打診されたら、すぐに医師に相談するようおすすめします。医師に今残っている自覚症状を伝え、通院治療が必要か判断してもらいましょう。
医師が「治療が必要」と判断していたら、保険会社も無理に治療費や休業損害を打ち切らない可能性が高くなります。

弁護士に相談する

保険会社から休業損害の打ち切りを打診された場合の3つ目の対処方法は、弁護士に相談することです。弁護士は交通事故の損害賠償の仕組みをよく知っているので、不利益を受けないためのアドバイスをしてくれます。
医師とコミュニケーションをとってくれる弁護士もいますし、保険会社との示談交渉も任せられます。

交通事故で困ったときに助けてくれるのは弁護士です。
仕事や休業損害について悩んだときにも交通事故に詳しい弁護士へ相談しましょう。

8.治療より仕事を優先した場合のデメリット

交通事故のケガが比較的軽傷な場合、治療よりも仕事を優先してしまう方がたくさんおられます。確かに人手が足りない会社もあるでしょうし、繁忙期で穴を開けられないなどの事情もあるでしょう。軽傷では仕事を休みにくいものです。
実際、軽傷であれば基本的に仕事を優先すべきです。
ただし治療を後回しにするデメリットもあります。
以下では治療よりも仕事を優先するデメリットをお伝えします。

8-1.痛みやしびれなどの症状が長引く

事故後、きちんと治療を受けないと痛みやしびれなどの症状が長引いてしまう可能性が高くなります。
辛い症状が出ていると、仕事のパフォーマンスも低下してしまうでしょう。
完治後に効率良く働くためにも、交通事故後の一定期間は治療にすべきです。

8-2.後遺症が残りやすくなる

交通事故後、適切な治療を受けないと後遺症が残ってしまうリスクも高まります。
後遺症は一生治らない可能性もあるものです。症状を抱えていると、仕事もしにくくなりますし日常生活にも支障が出るなど生きづらくなるでしょう。
後遺症を残さないためにも、交通事故後は無理に仕事をせず治療を優先すべきです。

8-3.交通事故とケガとの因果関係を証明しにくくなる

交通事故に遭っても仕事を優先して初診日が遅れたり、仕事が忙しいために通院の間隔が開いてしまったりすると、ケガと交通事故の因果関係を証明するのが難しくなってしまいます。
初診日が遅れると、ケガが本当に交通事故によって発生したものなのか、別の原因(日常生活におけるケガなど)で発生したものなのか判断がつきにくくなります。
通院日と通院日の空白期間が長くなった場合、通院が途切れた時点で「ケガが治ったのではないか?」と思われて、空白期間後の通院日の休業損害が払われなくなる可能性があります。

8-4.後遺障害認定を受けにくくなる

交通事故後に治療をしても完治しなかったら後遺症が残ってしまいます。その場合、自賠責保険で「後遺障害等級認定」を受けられると後遺障害に対する賠償金を請求できます。

ただ、きちんと医師の指示に従って十分な治療を受けていなければ、後遺障害認定は受けられません。また後遺障害等級認定を受けるには、基本的には6か月程度かそれ以上の入通院が必要です。

仕事を優先して治療を後回しにすると、辛い後遺症があるのに後遺障害等級が認定されず、後遺症に対する補償を受けられないリスクが高まります。

9.仕事をどうしても休めないときの対処方法

交通事故でケガをしたら、なるべく頻繁に完治または症状固定するまで病院に通い続けるべきです。
しかし仕事が忙しく、どうしても通院が難しい方もいるでしょう。
その場合には、以下のように対応してみてください。

9-1.休日に開いているクリニックに通う

仕事のある日が平日でどうしても穴を空けられない方の場合、休日でも開いているクリニックを受信するようおすすめします。

今通院している病院やクリニックが休日診療に対応していない場合、転院してもかまいません。なお転院する際には、保険会社から新しいクリニックへ治療費の支払いをしてもらうため、事前に相手の保険会社に新しいクリニックの名称や連絡先を伝えましょう。

9-2.夜間に診療を行っているクリニックに通う

日中に仕事を休んで病院に行くのが難しい方の場合、夜間診療に対応してくれる病院やクリニックを探しましょう。
夜間診療してもらえる医療機関であれば、仕事帰りに寄ることも可能です。

9-3.自営業の場合、外注する

自営業の場合、どうしても自分が仕事をしなければならないので仕事を休めないケースが多々あります。その場合、外注を検討しましょう。
たとえば一人親方が仕事の応援を頼む、医師の方が事故に遭って仕事ができなくなったとき、代診の医師を雇って対応するすると良いでしょう。
外注すると費用がかかりますが、外注に発生した費用も交通事故によって発生したものなので、相手へ請求できる可能性があります。

ただし保険会社側は外注の費用を認めないケースも少なくありません。
外注を検討する場合には、費用の請求が認められそうなのか、事前に弁護士に聞いておくようおすすめします。

もしも示談交渉で保険会社がどうしても外注費を認めない場合、弁護士に示談交渉の代行を依頼すると有利に進めやすくなります。

10.後遺症で仕事ができなくなった場合の逸失利益について

交通事故に遭うと、後遺症が残って仕事ができなくなったり減収が発生したりするケースもよくあります。
むちうちでも後遺障害の12級や14級が認定される可能性があります。
事故で後遺障害認定を受けられたら、減収分について「逸失利益」を請求できるケースが多数です。
以下で逸失利益とは何か、みてみましょう。

10-1.逸失利益とは

逸失利益とは、交通事故で被害者が得られなくなった収入です。
交通事故で被害者に後遺障害が残ると、事故前に比べて労働能力が低下すると考えられます。すると生涯に得られる収入も減少してしまうでしょう。そこで逸失利益を加害者へ請求できるのです。

10-2.逸失利益と休業損害の違い

逸失利益も休業損害も、「事故によって発生舌減収への補償」という意味で似ています。
ただ休業損害と逸失利益は発生する時期が違います。
休業損害の場合、「事故後、完治または症状固定するまでの期間」に発生するものです。
一方逸失利益は「症状固定後の就労可能年数分」発生します。

わかりやすくまとめると、症状固定までは休業損害、症状固定後は逸失利益によって減収分が補償されると考えましょう。

11.交通事故後の仕事で悩んだら弁護士へ相談すべき理由

交通事故後、仕事や休業損害について悩んだときには弁護士へ相談しましょう。

11-1.状況に応じたアドバイスを受けられる

交通事故後の仕事と治療についての問題は、非常に悩ましいものです。
仕事を休むべきか、どこのクリニックや整骨院に通えば良いのかなど迷ってしまう方も多いでしょう。
弁護士に相談すれば、その方の状況に応じたアドバイスを受けられるので、安心して対応できます。

11-2.適切な金額の休業損害を請求できる

保険会社は不当に休業損害を減額してくるケースが少なくありません。被害者の収入を少なく見積もってきたり、いわれのない素因減額を主張してきたりするケースもあります。
弁護士に示談交渉を任せれば相手の無理な主張を排斥し、適正な休業損害を受け取れる可能性が高まります。

11-3.賠償金を増額できる可能性がある

弁護士に示談交渉を依頼すると、高額な弁護士基準が適用されるので賠償金がアップする可能性も高くなります。休業損害だけではなく慰謝料も弁護士基準の方が保険会社基準より高額です。

適正な金額の休業損害や慰謝料を払ってもらうため、弁護士に対応を依頼しましょう。

横浜クレヨン法律事務所では交通事故対応に非常に力を入れて取り組んでいます。仕事を休む期間や休業損害などが気になっている場合、お気軽にご相談ください。