交通事故に遭ったときに「弁護士に相談したい」と思っても、気になるのが弁護士費用です。
具体的にいくらかかるのか、相場の金額を知っておきましょう。

また「弁護士費用特約」を使えば弁護士費用がかからなくなるケースが多く、かかってもずいぶん金額が低くなります。

今回は交通事故の弁護士費用の相場や弁護士費用特約について解説しますので、弁護士相談を考えている方はぜひ参考にしてみてください。

目次

第1章 交通事故の弁護士費用の内訳と相場はいくら?

まずは交通事故を弁護士に相談・依頼したときにかかる弁護士費用の内訳やそれぞれの相場について、ご説明します。

1-1.弁護士費用の内訳

交通事故に遭ったときにかかる弁護士費用として、主なものは以下のとおりです。

相談料

相談料は、最初に弁護士に相談に行ったときにかかる費用です。

着手金

着手金は、弁護士に示談交渉や訴訟などの具体的な対応を依頼したとき、最初にかかる費用です。途中で案件対応が終了した場合や訴訟で負けた場合などにも返金はありません。

報酬金

報酬金は、弁護士に示談交渉などを依頼して案件が解決されたときに発生する費用です。
解決方法に応じて金額が変わってきます。

日当

日当は、弁護士が出張したときの手当です。たとえば遠方の交通事故現場に行ったときや遠方の裁判所へ出頭したときなどに発生します。出張しなければ日当はかかりません。

実費

実費は、裁判を起こすときの印紙代や郵便切手代などの通信費、交通費など「実際にかかる費用」です。弁護士に示談交渉や訴訟などを依頼する際には、着手金とともに実費の概算分も払わねばならないのが一般的です。

1-2.弁護士費用の相場

弁護士の費用体系はそれぞれの法律事務所が独自に定めているので、依頼先によって異なる可能性があります。ただし一定の相場は存在します。
相場を知っておけば高すぎる事務所やリーズナブルな事務所を判断しやすく、依頼の際に有利に判断できるメリットがあります。以下でそれぞれの弁護士費用の費目においてどのくらいの金額が相場となるのかみてみましょう。

相談料の相場

相談料の相場は30分5000円(税別。以下すべて同様)です。
ただし無料相談に対応している事務所も多く、そういった事務所を利用すれば相談料はかかりません。

着手金の相場

着手金の相場は、以下のとおりです。

10~20万円程度

ただし着手金無料で対応している事務所もあります。

訴訟の場合

訴訟の場合には、「経済的利益」の金額によって着手金の相場が変わります。

経済的利益とは、依頼者が得られる財産的な利益です。

交通事故の訴訟の場合、「請求金額」をもとに計算するケースが多いと考えましょう。

【経済的利益と着手金額の表】

経済的利益(一般的には請求金額)の金額着手金の金額
経済的利益の額が300万円以下の場合経済的利益の8%
経済的利益の額が300万円を超え3000万円以下の場合5%+9万円
経済的利益の額が3000万円を超え3億円以下の場合3%+69万円
経済的利益の額が3億円を超える場合2%+369万円

表の読み方

「経済的利益」については請求金額を入れて、そこに掲載されているパーセンテージを掛け算しましょう。ただし被害者が途中まで自分で示談交渉を進めていた場合、請求金額ではなく「弁護士が介入することによって増額されるべき金額」を経済的利益として計算する可能性もあります。また経済的利益が300万円を超える場合には、単純にパーセンテージを掛け算するだけではなく、表の「+○万円」となっている数字を足し算する必要があります。

計算の具体例

たとえば相手方へ請求する金額が500万円の場合、「500万円の5%+9万円=36万円」の着手金がかかります。

報酬金の相場

報酬金についても経済的利益をもとに算定するのが一般的です。
相場は以下のとおりです。

【経済的利益と報酬金の表】

経済的利益の金額報酬金の金額
経済的利益の額が300万円以下の場合経済的利益の16%
経済的利益の額が300万円を超え3000万円以下の場合10%+18万円
経済的利益の額が3000万円を超え3億円以下の場合6%+138万円
経済的利益の額が3億円を超える場合4%+738万円

表の読み方

経済的利益の欄には「相手方から獲得できた金額」を適用します。ただし被害者が自分で途中まで示談交渉を進めていた場合「弁護士が介入したことによって増額された金額」を基準にするケースもあります。

経済的利益が300万円を超える場合には、その金額に「+○○万円」とある数字を足し算してください。

報酬金計算の具体例

たとえば訴訟で1000万円の賠償金を獲得できた場合には、「1000万円×10%+18万円=118万円」の報酬金が発生します。

なお報酬金は着手金とは別に発生するので、弁護士に依頼するときには主に「着手金+報酬金」の合計額が必要になると考えましょう。

1-3.報酬金の計算基準は事務所によって異なる

上記は経済的利益によって報酬金のパーセンテージを変えているパターンですが、示談交渉などを依頼する場合には「報酬金のパーセンテージが一律」になっている事務所もあります。

たとえば報酬金額を一律で「経済的利益の15%」としていたり「20万円+経済的利益の10%」などと設定していたりする事務所です。

弁護士事務所に依頼する際には、どういった費用の計算方法になるのか、しっかり理解した上で依頼先を選定しましょう。

1-4.日当の相場

次に日当の相場をご紹介します。
日当は以下のように設定されている事務所が多数です。

半日出張…1~3万円 全日出張…3~5万円

なお日当がかかる場合には別途実費として交通費もかかるので、その合計額を払わねばなりません。弁護士が遠方に出張すると高額な費用がかかる可能性が高いといえます。

弁護士費用を抑えるには、できるだけ裁判所や現場、依頼者の住所地などから近い場所の弁護士を選ぶのがおすすめです。

1-5.実費の相場

実費は「実際にかかった費用」なので、ケースによって金額が大きく変わります。
たとえば示談交渉で解決できて特に出張などもなかった場合には実費はほとんどかからないでしょう。
一方で遠方の裁判所で訴訟を起こし、裁判所へ何度も行かねばならなかったケースなどでは実費が数万円や10万円以上になる可能性もあります。

なお実費の内訳としては、主に以下のようなものがあります。

交通費

弁護士が遠方の裁判所へ行ったり交通事故現場を訪れたりするためにかかる交通費です。

通信費

郵便切手代や電話代、宅急便の費用などの料金です。

印紙代

裁判や調停を申し立てる際に裁判所へ支払う収入印紙代です。裁判上の請求金額が高額になるほど印紙代も上がります。

コピー代

主に裁判所の記録を謄写(コピー)するための費用です。
裁判が進んで証人尋問や当事者尋問が行われた場合、調書をコピーするのにコピー代がかさむ可能性があります。

医療記録の取り寄せ料金

病院からカルテや診療録、MRIなどの検査結果を取り寄せる際にかかる料金です。
医療機関や取り寄せる医療記録の種類によって金額が異なります。

第2章 弁護士費用特約がある場合の弁護士費用は?

交通事故の示談交渉や訴訟を弁護士に依頼すると費用がかかりますが、「弁護士費用特約」を適用できれば費用がかからなくなったり低額にしたりできます。

自動車保険に弁護士費用特約をつけている方も多いので、事故に遭ったら忘れずに利用しましょう。
以下では弁護士費用特約とは何か、補償範囲や利用方法をお知らせします。

2-1.弁護士費用特約があれば保険会社が費用を負担する

弁護士費用特約とは、保険会社が弁護士費用を負担してくれる内容の保険特約です。
弁護士費用特約を適用すると、限度額まで保険会社が弁護士費用を全額払ってくれます。
相談料、着手金、報酬金、日当、実費やその他の手数料まですべて保険会社が負担するので、契約者は一切弁護士費用を払わずに済むケースも多数です。

弁護士費用特約を適用するには契約者が申し出る必要がある

ただし弁護士費用特約を利用するには、契約者が申し出なければなりません。忘れているとせっかくの特約が適用されないので、事故に遭ったときには保険内容をしっかり確かめて保険会社へ申し出ましょう。

自分の契約している保険以外の弁護士費用特約を使える

事故にあった被害者本人が契約している保険以外の弁護士費用特約を使える場合もあります。たとえば同居の家族や別居の親の自動車保険についている弁護士費用特約を適用できるケースなどです。
交通事故に遭った車の保険契約者が加入している保険の弁護士費用特約も使えます。

自動車保険以外に弁護士費用特約がついているケース

自動車保険以外の弁護士費用特約を使えるケースもよくあります。たとえば以下のような保険に弁護士費用特約がついている可能性があるので、事故に遭ったら契約内容を確かめてみましょう。

  • 生命保険
  • 医療保険
  • 火災保険
  • 個人賠償責任保険

最近ではクレジットカードに弁護士費用特約がついているケースもあります。

2-2.弁護士費用特約のデメリット

弁護士費用特約を適用すると弁護士費用が無料になる可能性があるとはいえ「デメリットが心配」という方もいるでしょう。

弁護士費用特約のデメリットをご説明します。

弁護士を探す労力がかかる

1つには、弁護士を探さねばならないことが問題です。
示談交渉を依頼するには、依頼先の弁護士事務所へ行って相談を受け、委任契約書を作成するなど手間がかかります。物損などの小さい交通事故でいちいちこういった手間をかけるのを好まない方もいるでしょう。

ただ弁護士費用特約を適用すると弁護士が示談交渉を進めてくれるので示談交渉に対応する手間を省けますし、賠償金が増額される可能性が高くなります。

一般的には多少の手間をかけても弁護士を探すだけの価値はあると考えられるでしょう。

良い弁護士に会えるとは限らない

弁護士費用特約の2つ目のデメリットは、良い弁護士に出会えるとは限らない点です。
交通事故に詳しくない弁護士に依頼してしまったら示談交渉があまり有利に進まない可能性がありますし、相性の悪い弁護士に依頼するとかえってストレスが溜まってしまう可能性もあります。
せっかく弁護士費用特約を使って弁護士に依頼するのであれば、親身になってくれてコミュニケーションをとりやすく、信頼できる専門家を選定しましょう。

弁護士費用特約のデメリットでよくある誤解

弁護士費用特約を適用する際「特約を使ったら自動車保険の等級が下がる」と思いこんでいる方もおられます。
しかし弁護士費用特約を適用しても保険等級は下がりません。
翌年度からの保険料が上がる心配はないので、安心して適用を申請してください。

2-3.弁護士費用特約の補償範囲

弁護士費用特約には限度額があり、かかった費用が無制限に補償されるわけではありません。
一般的な保険特約で補償される範囲は、一般的に以下のとおりです。

法律相談料は10万円まで

弁護士に相談するときの法律相談料については1件10万円まで補償されるのが一般的です。
通常、1つの交通事故で10万円分も相談料がかかることはまずないので、弁護士費用特約を使えば相談料は無料になるケースがほとんどでしょう。

着手金や報酬金等の費用は300万円まで

示談交渉や訴訟などの着手金、報酬金や実費などの費用は300万円が限度額となっています。300万円を超える部分については利用者の負担となります。

これらの費用が300万円を超えるケースはよほど大きな交通事故に限られてきます。たとえば複雑骨折や脊髄損傷、植物状態や高次脳機能障害などとなって重大な後遺障害が残った場合などです。
一般的なむちうちなどのケースでは、弁護士費用が無料になる可能性が高いと考えましょう。

弁護士費用特約が2重になった場合

自分が契約者になっている自動車保険の弁護士費用特約と家族が加入している生命保険の弁護士費用特約がある場合など「弁護士費用特約が2重になるケース」もあります。
こういった事案では、2つの弁護士費用特約を適用できるので、補償額が2倍になります。
たとえば法律相談料は20万円まで無料になりますし、着手金や報酬金等の金額は600万円までかかりません。

小さい交通事故では特約が2重になっても意味があまりありませんが、大きな交通事故で弁護士費用が300万円を超える場合、2重になることによって費用がかからなくなる可能性もあります。

第3章 交通事故の弁護士費用を加害者負担にできる?

交通事故で弁護士費用特約を使えない場合や限度額を超える場合、依頼者に費用負担が発生します。
交通事故の弁護士費用は加害者に負担させられないのでしょうか?

結論的に、訴訟で判決になった場合には一部負担させられる可能性がありますが、それ以外の場合には弁護士費用は加害者負担にはならないのが一般的です。

以下で詳細をみてみましょう。

3-1.日本の交通事故の弁護士費用は依頼者負担

日本では、弁護士費用について敗訴者負担になっていません。
敗訴者負担とは「負けた側が弁護士費用を負担すべき」という考え方です。
日本では敗訴者負担制度が採用されておらず「依頼者負担」となっています。
たとえ裁判を起こして勝訴したとしても、全額の弁護士費用を相手に負担させることはできないと考えましょう。

示談交渉や調停、ADRなどで解決したときにも弁護士費用を相手方負担にはできませんし、訴訟上の和解で解決した場合にも同様です。示談金や和解金には弁護士費用を含められなので、弁護士費用は自分で負担しなければなりません。

3-2.例外的に加害者負担にできるケース

ただし弁護士費用を一定まで加害者負担にできるケースがあります。
それは訴訟を起こして判決で支払い命令を出してもらった場合です。
判決で支払い命令を下す際には、裁判所は加害者に対し「認容金額の10%」を弁護士費用として負担するよう命じてくれるのが一般的です。認容金額とは、判決で認められる賠償金の金額です。

訴訟で判決をもらう場合のみ、賠償金の10%の金額を弁護士費用として加害者側から払ってもらえると理解しましょう。

3-3.弁護士費用を加害者に負担させる場合の計算例

たとえば交通事故でむちうちになり、相手に訴訟を起こして500万円の支払い命令が出たとしましょう。この場合、50万円の弁護士費用の支払い命令が出ます。
被害者は500万円と50万円の合計額である550万円の支払いを受けられるという意味です。実際には遅延損害金も加算されるので、賠償金額がさらに増額されます。

一方、示談交渉の場合には500万円しか支払ってもらえません。訴訟になると遅延損害金や弁護士費用の分、受け取れる金額が増額されるメリットがあるといえます。

第4章 相談料や着手金が無料の弁護士事務所について

弁護士事務所によっては「相談料や着手金が無料」とされているケースがあります。
そういった事務所では報酬金のみが発生するので、依頼者に「持ち出し」が発生しません。
相談料や着手金が無料の費用体系を「完全成功報酬制」といいます。

依頼者にとって完全成功報酬制の事務所にはどういったメリットとリスクがあるのかみてみましょう。

4-1.相談料や着手金が無料の事務所のメリット

相談料や着手金がかからない完全成功報酬制の事務所の場合、初期費用が不要です。
手元にまとまった依頼料を用意できない方でも弁護士に依頼できるメリットがあります。

4-2.完全成功報酬制のデメリットや注意点

相談料や着手金が無料と言われると、一般の方は「相談料や着手金のかかる事務所より安い、リーズナブル」と考えるでしょう。
しかし現実には、他の事務所よりも報酬金が高めに設定されているケースが多く、最終的な負担額は着手金有料の弁護士事務所と変わらないケースが多数です。
つまり着手金の金額が報酬金に上乗せされていて、事件解決時にまとめて清算、という仕組みになっているのです。

事務所によっては報酬金が他の事務所の相場よりかなり高額に設定されていて、着手金有料の事務所よりもむしろお金がかかってしまうケースもあります。

着手金無料の事務所を選ぶ場合には、「報酬金も含めて本当に安くなっているのか」をきちんと確かめる必要があるといえるでしょう。

4-3.着手金無料の事務所と有料の事務所の比較イメージ

たとえば着手金無料で「報酬金は経済的利益の25%」のA事務所と「着手金が経済的利益の8%、報酬金は経済的利益の16%」のB事務所を比較してみましょう。

交通事故でむちうちになって弁護士に依頼し、200万円の支払いを受けられたとします。

着手金無料のA事務所では50万円の弁護士費用(報酬金)がかかります。
着手金有料のB事務所では16万円+32万円=48万円の弁護士費用がかかります。

着手金有料のB事務所の方が、かかる費用の総額は低くなるのです。

第5章 交通事故の弁護士費用を知る計算方法の具体例

交通事故で具体的にいくらの弁護士費用がかかるのか、計算方法や具体例を示します。

5-1.計算方法

交通事故でかかる弁護士費用を計算するときには、各事務所の費用計算方法をあてはめる必要があります。

着手金や報酬金、実費などの費用がかかるので、すべてを合計しなければなりません。

着手金が安くても報酬金が高ければ全体では高額になる可能性があるので、1つの費目だけに注目しないようにしましょう。

交通事故にかかる一般的な弁護士費用=相談料+着手金+報酬金+実費+日当

5-2.計算の具体例

交通事故でかかる弁護士費用計算の具体例を示します。
費用体系に応じて3つの事務所を比較してみましょう。

A事務所の場合

A事務所では「着手金は経済的利益の8%、報酬金は経済的利益の16%」に設定しているとします。
示談交渉によって300万円の支払いを受けられて、実費が5000円、日当や相談料は0円だったとします。

計算すると着手金は24万円、報酬金は48万円となり実費が5000円加算されるので、弁護士費用の合計額は72万5000円となります。

B事務所の場合

B事務所では「着手金は一律10円、報酬金は経済的利益の20%」に設定していて、示談交渉で300万円の支払いを受けられたとしましょう。実費が5000円かかったとします。

この場合、着手金10万円+報酬金60万円+実費5000円=70万5000円となります。

C事務所の場合

C事務所では「着手金は0円、報酬金は経済的利益の25%」に設定しているとしましょう。
示談交渉で300万円を獲得できて、実費が5000円かかったとします。

この場合、75万5000円の費用がかかります。

3つの事務所を比較すると、C事務所がもっとも高額で次にA事務所、もっとも安いのがB事務所になります。

ただしあくまで「300万円の支払いを受けられたケース」が前提となっていて、事案が違えばリーズナブルな事務所も変わってくる可能性があります。

弁護士事務所を選ぶ際には、自分で計算のシミュレーションを行うことが重要です。

弁護士費用特約を適用した場合

上記のいずれのケースでも、弁護士費用特約を利用できれば弁護士費用は0円になります。
A事務所でもB事務所でもC事務所でも弁護士費用の金額が300万円以下なので、依頼者負担額はありません。

このように、明らかに弁護士費用が300万円を下回るケースで弁護士費用特約を適用できるなら、依頼先の弁護士事務所を選ぶときにあまり神経質にならなくてもよいといえるでしょう。弁護士費用特約には、細かい計算のシミュレーションも不要となるメリットがあります。

第6章 弁護士費用特約を利用した場合に弁護士費用が支払われるまでの流れ

弁護士費用特約を利用すると、どのような流れで弁護士費用が支払われるのでしょうか?
以下で一般的な流れをみてみましょう。

STEP1 保険契約内容を確認する

まずは弁護士費用特約を使えるのかどうか、保険契約内容を確かめる必要があります。
自分の契約している自動車保険だけではなく、家族の契約している自動車保険や火災保険、生命保険、医療保険など各種の保険の特約やクレジットカードの規約などを確かめましょう。
弁護士費用特約をつけると保険料が高くなっているはずなので、使える保険があれば使わないともったいないといえます。

STEP2 保険会社へ連絡する

弁護士費用特約のついている保険があれば、保険会社へ連絡をして「特約を使いたい」と申請しましょう。特約を使える状況であれば、保険会社で特約の適用申請を受け付けてくれて担当者が決まります。
保険特約についての担当がわかったら、担当者名や電話番号等をメモしましょう。担当については依頼先の弁護士に伝えなければならないためです。

STEP3 弁護士を探す

弁護士費用特約の担当者がわかったら、弁護士を探しましょう。
多くの保険会社の弁護士費用特約では、依頼先の弁護士は利用者が自分で探さねばならず、保険会社が紹介してくれるケースは少数です。また保険会社が紹介してくれる場合でも、紹介された弁護士が必ずしも良い弁護士とは限りません。自分で探して気に入った人へ依頼する方がよいでしょう。

STEP4 弁護士に相談して了承を得る

依頼したい弁護士が見つかったら、法律相談の予約を入れましょう。
相談時に「弁護士費用特約を使いたい」と申し出て、弁護士による了承を得ます。
契約条件を取り決めたら、委任契約を締結しましょう。

あとは保険会社の弁護士費用特約の担当者名や連絡方法を伝えると、弁護士が保険会社とやり取りしてくれて保険会社が弁護士費用を払います。

依頼者としては費用の点をのぞいて通常とおりに示談交渉などの手続きを進めてもらえば良いだけです。

第7章 費用で失敗しないための交通事故を依頼する弁護士の選び方

7-1,弁護士費用の金額がリーズナブル

まずは「弁護士費用がリーズナブル」な法律事務所を選びましょう。
リーズナブルというのは、費用の金額の割にサービスが充実している、という意味です。
確かに弁護士費用が安いと依頼者の負担は小さくなりますが、「安かろう悪かろう」では意味がありません。せっかく依頼するなら、交通事故に力を入れていて解決実績も高い事務所を選定すべきです。

良質な事務所の中でも費用が比較的良心的に設定されている事務所が「リーズナブルで良い事務所」と考えられます。

7-2.費用体系が明確でわかりやすい

次に、事務所の費用体系に着目しましょう。
費用体系は明確でわかりやすい事務所を選ぶのがおすすめです。
当初にきちんと弁護士費用について理解し、追加費用が発生する状況などもわかっていれば、後にトラブルになるリスクを避けられます。
一見安いように見えても後に不明瞭な追加費用を請求されてかえって高額になってしまう事務所もあります。

依頼前に事務所の費用体系を確認し、どういった状況になれば追加費用がどれだけ発生する可能性があるのか、報酬金の計算方法なども合わせて理解しておきましょう。

7-3.見積もりを出してもらえる

弁護士事務所に示談交渉や訴訟を依頼する際には、見積書を出してもらいましょう。
見積書があれば、だいたいどのくらいの費用がかかりそうか事前に予測できます。
複数の事務所で無料相談を受けて見積書をもらい、それぞれの事務所の費用を比較することも可能です。
ただし弁護士事務所を選ぶときには費用が安ければ良いというものではないので、見積書の内容と事務所の特徴を両方勘案した上で事務所を比較する姿勢を持ちましょう。

7-4.自分で事前に金額をシミュレーションする

弁護士費用の金額は、交通事故の規模や請求金額などによって同じ事務所でも変わってきます。正確な弁護士費用を知るためには、自分で依頼前に計算のシミュレーションを行っておく必要があります。
見積書をもらうだけではなく、自分でもどのくらいの費用がかかりそうか、着手金や報酬金とその合計額を計算してみましょう。
納得できてから依頼すると、後に「こんなはずじゃなかった」という結果になりにくいものです。

7-5.払えないときの対処方法

依頼の際、まとまった弁護士費用を用意しにくいときには、以下のように対処しましょう。

分割払いをする

着手金を用意しにくい場合には、分割払いを申し出てみましょう。
たとえば30万円の着手金がかかるケースでも月10万円ずつの分割払いにさせてもらえる場合などがあります。

着手金無料の弁護士事務所を選ぶ

着手金を払えない場合には、着手金や相談料が無料で完全成功報酬制の弁護士事務所がおすすめです。こういった事務所であれば、手元資金が0円でも示談交渉や訴訟に対応してもらえます。
ただし報酬金が高めに設定されていると、全体としてかかる金額自体は高額になる可能性があるので理解した上で利用しましょう。

第8章 まとめ

横浜クレヨン法律事務所では、交通事故案件に力を入れて取り組んでおり、解決例も多数あります。弁護士に依頼すると、慰謝料などの賠償金を大きく増額できるケースが多く、依頼者の方は大きなメリットを受けられるものです。

交通事故の経験豊富な弁護士が親身になって誠実に対応させていただきますので、リーズナブルな弁護士事務所をお探しの方がおられましたら、お気軽にご相談ください。